「浪速のジョー」が、ちばてつやさんをしのんだ。
元WBC世界バンタム級王者辰吉丈一郎(56)が、「あしたのジョー」などのヒット作で知られる漫画家ちばてつや(本名千葉徹弥=ちば・てつや)さんの訃報(ふほう)に触れて27日、日刊スポーツの取材に応じた。
「ショックですよね」。
知人から訃報を聞いたという辰吉は、そう口にした。
「あしたのジョーは、ボクシングというよりも、心境。(主人公が)はい上がっていく物語が主に描かれていたと思う」
大阪府・守口市内の自宅には「あしたのジョー」全巻がそろっている。
少年のころに初めて読み、プロデビューした後に読み、そして世界王者になってからも読んだ。
「やっぱり減量が苦しい、きつい、そういうイメージがあった。ボクシング=減量しないといけないという。力石、矢吹…。どのボクサーも苦しむものだけど、当時の減量は、ウチの時(90年代)とは違って、のまずくわず。苦しい表現もあった」と振り返る。
辰吉は70年5月生まれ。
「あしたのジョー」は67年12月に連載が始まっており、父の故粂二(くめじ)さんに主人公・矢吹丈の名前から一字とって「丈一郎」と名付けられた。
辰吉は「父ちゃんは粂二という自分の名前がいやで、息子にはカッコええ名前をつけたかったらしい」と口にしたことがある。
「(父は)ジョーというのが気に入った、でもジョーだけだと(漫画と)同じになる。ウチは長男だから、丈一郎となった」。
ちなみに「浪速のジョー」という愛称については「大阪に住んでいるけど、岡山(出身やから)。浪速ではないけどね」。
生前のちばさんと面識はなかったという。
それでも折に触れて「あしたのジョー」を本棚から引っ張り出し、読んできた。「浪速のジョー」にとって、道しるべのような漫画でもあった。【益田一弘】
◆辰吉丈一郎(たつよし・じょういちろう)1970年(昭45)5月15日、岡山県倉敷市生まれ。4戦目で日本バンタム級王者、8戦目で当時日本選手最速の世界王座獲得。引退危機を乗り越えるも、薬師寺との世紀の王座統一戦で判定負け。スーパーバンタム級に上げるも連敗で迎えた97年11月、バンタム級に戻してのシリモンコン戦で劇的勝利。2度の世界王座返り咲きを果たした。2度防衛後、ウィラポンに敗れて陥落。1度は引退表明も撤回し、タイで2戦。戦績は20勝(14KO)7敗1分け。愛称は「浪速のジョー」。家族は妻るみさん、長男寿希也さん、次男寿以輝は現役のプロボクサー。