今年1月にWWEを退団したKENTA(38)が、新日本プロレスのG1クライマックスに初参戦している。4戦を終え、得意の打撃を武器に無傷の4連勝と好調。初体験の新日マットの感触や、再起にかける思いを聞いた。【取材・構成=高場泉穂】

日本でのリングは5年ぶり、「G1クライマックス29」に帰ってきたKENTA(撮影・酒井清司)
日本でのリングは5年ぶり、「G1クライマックス29」に帰ってきたKENTA(撮影・酒井清司)

「自分のやりたいプロレスをやりたい」。それがKENTAがG1に参戦する理由だ。14年、ノアを退団し移ったWWEでの新リングネームは「イタミ・ヒデオ」。「いつかそう呼ばれることに慣れるだろうと思っていたけど、最後までしっくりこなかった(笑い)」。けがなどもあり、WWEでは思うようなプロレスができず今年1月に退団。次の戦いの場に新日本プロレスを選んだのは世界に発信力があるから。ここで再起のチャンスを狙う。

米ダラスでのG1初戦は昨年準優勝の飯伏幸太。世界中のファンが注目する中、必殺技go2sleepで勝利した。約半年ぶりの実戦。ブランクは感じつつも「今までの思うようにいかなかった数年間の思いをぶつけようという思いでやりました」。初対戦だった飯伏とのタフな試合を制し、鮮烈な新日デビューを果たした。

14日、棚橋弘至にスワンダイブ式ドロップキックを放つKENTA(左)
14日、棚橋弘至にスワンダイブ式ドロップキックを放つKENTA(左)

エース棚橋、巨人アーチャー、EVILも下し開幕4連勝。最高の滑り出しだが、残る試合もオスプレイ、SANADA、オカダと初顔合わせの強敵が並ぶ。「どういう試合になるのか予想もつかない」。全員を警戒した上で、ポイントと定めるのが27日名古屋でのIWGPヘビー級王者オカダ戦。「米国にいた時、また新しい才能が出てきたと思ったのを覚えている。全勝で(オカダ戦に)臨めればいい」。新日本の顔を倒せば、この上ないアピールになる。

連戦のきつさはあるが「充実しています」と笑顔で語る。自宅は米フロリダにあるが、G1中は日本に長期滞在。「すぐいけばコンビニがあって便利だったり、ココイチ(カレーチェーン店)もある。巡業でも久しぶりに行くところが多くて楽しみ」と久しぶりの日本生活を堪能している。

インタビューで笑顔を見せるKENTA(撮影・酒井清司)
インタビューで笑顔を見せるKENTA(撮影・酒井清司)

ファンの歓迎と拒否。さらに5年前の自分と比べて見られていることも感じている。「期待に応えたいとは思う。自分でも自分に期待している。5年前にやっていたようなことをやりたいとは思いますけど、その後の5年も、自分のなかでは無駄な時期ではなかった。そこで学んだもの、得たものをプラスαで出していきたい」。G1後のプランは考えているが、「ここでなにかを残さないと次はないと思っている」。すべてを出し尽くす覚悟で、残る試合を完走する。