5日の新日本プロレス東京ドーム大会でIWGPヘビー、IWGPインターコンチネンタル(IC)の2冠王者となった内藤哲也(37)は、昨年11月末に極秘で右目の手術をしていた。

異変に気付いたのは昨年5月ごろ。試合の最中に、ものが二重に見えるようになった。「ロープが6本にみえるし、2階席と3階席が重なってみえる。それでずっとやっていた」。もともと病院嫌いだが、このままでは試合に集中できないと意を決し、眼科、脳外科、耳鼻科とさまざまな病院をまわった。それでも原因は分からない。「このまま引退になっちゃうのかな…」と不安を抱えたまま夏のG1に臨み、優勝決定戦進出はならず。18年5月に戴冠したIC王座から同9月に陥落。結果も出ず、焦りの日々が続いた。

やっと原因が判明したのは10月。大学病院で、目の筋肉がまひしていると診断された。11月27日の浜松大会まで試合に出場し、翌28日に帰京。同29日に都内の病院で手術を受けた。まひしてゆるんでいた目の周囲の筋肉を縫合したことで、視界のピントが元に戻った。

3週間のオフを経て、12月19日の後楽園大会で復活。「久々に見えた。上を向くと、ぼやけちゃうけど、正面や下はちゃんと見えている。見える範囲が広がった」と試合をして初めて回復を実感。長く抱えていた心身の不安を解消できたことが、史上初の2冠の偉業につながっていた。【高場泉穂】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

1月5日、オカダ・カズチカ(右)にデスティーノを決める内藤哲也
1月5日、オカダ・カズチカ(右)にデスティーノを決める内藤哲也