K-1が仕掛ける「2021年の挑戦」と言っていい。従来の大会スケジュールをぶち壊し、「聖地」に戻ることを決めた。年間最大の祭典「ケイズフェスタ」は毎年3月、さいたまスーパーアリーナで開催する流れが恒例だったが、来年で4回目となるケイズフェスタ4大会は1月24日、東京・代々木競技場第1体育館で開催されることが11月17日に正式発表された。

代々木第1体育館と言えば、93年にK-1が大会初開催した会場。以後、K-1ヘビー級、K-1 MAXのビッグマッチが開催されてきた。しかし財政難で活動休止した旧K-1以後、14年に旗揚げされた新K-1でも、同会場での大会開催は実現していなかった。K-1中村拓己プロデューサーは「代々木第1での開催は大きな夢だった。『聖地』と言える場所」と感慨深く口にした。

3月から1月に祭典を前倒ししたことで、K-1が年始めに行ってきたK-1アウォーズ(年間表彰式)の開催時期が未定になった。1つの区切りとなるケイズフェスタを変更することによる影響は少なくない。準備期間は大会発表から約2カ月後。それでも同プロデューサーは「(アウォーズは)今後、調整したい。代々木第1でやることに思い入れがあった。(新K-1の)旗揚げが代々木第2で過去の規模よりも小さく始まったが、いつか代々木第1へ戻りたいと。いろいろなことを考えると1月に代々木第1で開催するのが1番良い選択」と新たなチャレンジを強調した。

出場選手も聖地カムバックにふさわしいメンバーになりそうだ。新K-1の顔となるスーパーフェザー級王者武尊(29)の登場が決定。K-1傘下のKrush同級王者レオナ・ペタス(28)との防衛戦が発表された。当初は11月3日のK-1福岡大会で決まったカードだったが、武尊の左拳骨折で延期に。今回はスライドした形となるものの、K-1とKrushの王者対決は新K-1の歴史にふさわしい顔合わせだろう。

武尊は「(代々木第1体育館は)昔、何度かK-1を見に行った。K-1にとって始まりの場所。さいたまスーパーアリーナも思い入れがあるが、それ以上にK-1として第1に戻ってこれた。その場所で昔のK-1を超える戦いをしたい」と今大会の意味をかみしめた。

さらにプロボクシングを引退した元ヘビー級3冠王者藤本京太郎(34)が再び「京太郎」のリングネームでK-1復帰することも発表された。対戦相手は未定ながらも、ケイズフェスタ4大会への参戦も決定。10年12月以来、10年ぶりのキックボクシング復帰となる。旧K-1時代、日本人初のヘビー級王座を獲得。ピーター・アーツ(オランダ)、ジェロム・レバンナ(フランス)に勝利し、セーム・シュルト(オランダ)とも対戦経験がある。旧K-1のヘビー級DNAが肉体に宿ると言っていい。

K-1スーパーフェザー級王者武尊、Krush同級王者ペタス、そして旧K-1ヘビー級王者京太郎。この3人の参戦だけで、旧K-1と新K-1のムードを融合するというイメージがわく。それも「2021年の挑戦」という強いメッセージだろう。聖地に戻るK-1のチャレンジが始まった。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)