名古屋場所直前だが、女子ゴルフの取材に来ている。ステップアップツアーのスカイ・レディースABC杯。ゴルフは途中で8年抜けたが、96年11月に尾崎将司がプロ100勝を達成したダンロップフェニックスから17年春まで担当しとった。「まあ何とでもなるわい」と気楽に来たら、勝手が違った。選手の顔がわからんがな。

たった2年ちょい離れただけで、若い子がどっと増えた。レギュラーツアーの下部に位置する“登竜門的”ツアーだけになおさらで、周りの人に「あれが○×ちゃん?」とこっそり確認してから話を聞きに行ったりする。世代交代いうのは、オッサン記者泣かせだ。

さて、相撲です。女子ゴルフほどやないが、角界も世代交代が目立ち始めました。貴景勝が大関になり、人気者の阿炎が新三役へ。これは幕内の話ですが、名古屋場所はもう少し下、幕下上位の争いも、かなりおもしろいんやないかと思います。

西幕下2枚目に元横綱朝青龍のおい、豊昇龍(20=立浪)。モンゴルから日体大柏高にレスリングで留学しながら、早々に相撲に転身した。まわしを締めて、わずか5年。今場所は序ノ口デビューから9場所目で新十両を決めれば、おじさんと並ぶスピード出世になる。

十両昇進が現実的な幕下5枚目から、ちょっとこぼれた位置にも有望な若手が並ぶ。豊昇龍と同学年で、強豪埼玉栄高のOB勢。西幕下6枚目に元横綱大鵬の孫、納谷(19=大嶽)。同7枚目に塚原(19=春日野)。東幕下8枚目に琴手計(ことてばかり、19=佐渡ケ嶽)。7戦全勝なら来場所の新十両が濃厚なポジションで、勝ち越しで5枚目内に番付を上げれば、来場所が“新十両とり”になる。

埼玉栄高時代の3人の力関係はどうだったか。塚原に聞くと「団体戦の時は先鋒(せんぽう)が北の若(1学年下、八角部屋で西序二段46枚目)で、中堅に納谷、大将に手計(=琴手計)のパターンですね。僕はインターハイ、国体(の団体戦)は(メンバーに入れず)出てませんから」とのこと。しかし、その塚原も入門時「足長いな~」と、世間一般には○でお相撲さん的には×のスタイルばかりが話題になっていたが、ここ数場所ですっかり足腰がたくましくなった。もう、それほど足が長くは見えない。

常におじさんの記録を意識する豊昇龍は、何が何でも今場所で十両を射止めるつもりやと思う。埼玉栄高OBトリオも後れを取りたくないでしょう。

幕内で際立ち始めた世代交代の第2波はひそかに、でも確実に起こりつつあります。【加藤裕一】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「大相撲裏話」)