右膝のケガで休場中の安美錦(40=伊勢ケ浜)が、粋な気遣いをしていた。2日目の取組で古傷を痛めたが、対戦相手の竜虎(21=尾上)が「申し訳ない」と気にしていることを知り、メッセージを送った。負傷した翌日、尾上部屋の部屋付き、佐ノ山親方(元幕内里山)にLINEでこう書き込んだ。

「竜虎にそんなこと気にするなと伝えて欲しい。里山でも勝ったことがないんだから自信を持って相撲を取れ。いい相撲だったぞ」

すぐに佐ノ山親方は、本場所に向かっている車中の竜虎へLINEを送った。

竜虎は、スマホで確認した時の気持ちを、こう振り返る。「そう言ってくれてうれしかった。気合が入りました。これから絶対に負けられないなと思いました」。気持ちを高ぶらせたまま、新十両ながら6日目を終えて4勝2敗とした。

再出場を見据える安美錦は「勝負事だからケガは仕方ない。若くていい子と対戦できて、悪く思う気持ちはみじんもない。気にするくらいなら、四股でも踏めばいい」と笑い飛ばした。最年長関取と最年少関取。2人は勝負師として、これから先に視線を向けている。【佐々木一郎】