11月18日に東京・EBARA WAVEアリーナおおたで開催される『ONE SAMURAI 5』に向け、出場する那須川龍心(20=TEAM TEPPEN)、玖村将史(27=999)、GUMP(23=TEAM TEPPEN)の3選手による公開練習&記者会見が29日、千葉県内で行われた。
7月の『ONEフライデーファイツ163』でトンプーン・PK・センチャイ(タイ)を2回TKOで下し、鮮烈なONEデビューを飾った龍心は、ONE2戦目にして日本大会『SAMURAI』シリーズに初登場。ストロー級(-56.7キロ)キックボクシング3分3回で、マフディー・ジャマリ(29=モロッコ)と戦う。
9月に大﨑一貴との再戦を制してRISE世界スーパーフライ級(-53キロ)王座を戴冠(たいかん)したばかりの龍心にとって、今大会は年間を通して戦い続ける過密日程の中で迎える一戦となる。現在の仕上がり具合を問われた龍心は「この試合を含めて僕、年間6試合目で、結構試合数をこなしてて、ちょっと疲労が来てるなっていうのはあるんですけど」と率直に明かしつつも、「調子も良く、良い感じで試合の感覚も忘れず、本当良い感じで自分のことを研ぎ澄ませられてるのかなっていうのはあるので。そういう疲労と向き合いつつ、しっかりあと2週間ぐらいやっていきたいなと思ってます」と充実した表情で語った。
日本人選手が苦戦することも多いONE特有のハイドレーションテスト(尿比重検査)を伴う減量についても、一切の不安はないという。同門のGUMP、そしてともに戦う玖村と同じ減量コーチのサポートを受けており、「自分も、ここの3人とも全員一緒の減量コーチに見てもらってて、仕組みさえ分かってれば大丈夫ですし、しっかり準備ができてれば大丈夫なんで、心配は一切ないですね」と力強く太鼓判を押した。
対戦相手のジャマリは身長170センチと龍心より5センチ高く、ONEではこれまでムエタイルールで4戦2勝(2KO)2敗のハードパンチャー。龍心は本来の主戦場である53キロから約3.7キロ重いストロー級での戦いとなる。その上、ジャマリが昨年4月のにトンプーンを1回KOしている事実に触れ、自身との破壊力の比較について「前回ONEで(自分が)トンプーン選手とやった時に、『こいつ打たれ強いな』と思ってたんで。(ジャマリは)それを一発で倒したんで、なかなかパワーあるぞと思って。(ジャマリは)オープンフィンガーなんで倒しやすいっていうのもあると思うんですけど、なかなか一発のある選手だなっていう。パワーだけで言ったら前回やった大﨑選手よりあるのかなっていうのは思ってるんで、本当その一発にはしっかり気をつけたいなと。一発ももらっちゃいけない試合だなと思ってます」と気を引き締めた。
さらにジャマリのストロー級戦線における立ち位置を冷静に分析し、「本当にデカくて一発がある選手で、サムエー選手だったりアリーフ選手だったり、そういう世界のトップどころに負けてる選手で、中堅ぐらいの実力で。自分のストロー級での実力が試される一戦なのかなっていうのはあるので、本当にここをしっかり勝って、次につなげたいですね。ノーダメージで(笑い)」と、GUMPのキャッチフレーズである「ノーダメージ」宣言で笑いを誘った。
昨年10月の『GOAT』で見せた右バックスピンキックKOのような、観客をあっと驚かせる必殺技の用意について問われると、「良い倒し方、映える倒し方っていうのはもちろん狙ってますし、そういうのが必要になってくると思うし、天心もそういうので倒してきて格闘技界、キックボクシングを盛り上げてきたと思うので、そういうのは狙ってますね」とキッパリ。ONEの高額パフォーマンスボーナスについても「狙ってなくても、あの会場の独特な雰囲気で、すごい前に出ちゃう、体が勝手に行っちゃうイメージがあって。本当に謙虚に1500万狙いに行こうかなと思ってます(笑い)」と最高額のボーナス獲得へ意欲をのぞかせた。
主戦場のRISEではフライ級(-51.5キロ)とスーパーフライ級(-53キロ)の2階級制覇を達成し、スーパーフライ級では世界王座も手中に収めた。今後については「正直、RISEでは53キロではやること全部やっちゃったのかなっていうのはあるので、そこの道はちょっとRISEにお任せする感じなんですけど。もちろんONEは未知な体験とか、やったことない相手がたくさんいる場所だと思ってるし、天心もONEでは戦ったことがないと思うんで、そういうところでまた違った自分を見せられるのかなっていうのもあるので、もちろんベルトは狙ってますし、ベルトは獲りたいなっていう気持ちはありますね」と、ONEの世界王座獲得を明確なターゲットに据えた。
ONEでベルトを狙うとなれば、今回戦うストロー級か、1階級下のアトム級(-52.2キロ)かという選択になる。体重面について問われた龍心は、「(52.2キロで世界王座を)作ってもらおうかなっていう(笑い)。相手がいるかわからないですけど、52.2で作ってほしいなって気持ちはありつつ、作ってくれないなら56.7でやるぞっていう気持ちはありますね」と語り、アトム級キックボクシング王座の新設を希望。「ベルトができるならアトム級の方がいいか?」との問いにも、「そうですね、やっぱ本来、自分53キロで(52.2キロでも)減量的には問題はないのかなっていうのはあるんで。作ってくれるなら52.2で、ないなら56.7で、全然どっちでも大丈夫です」と説明した。
報道陣から「ONEのチャトリ・シットヨートンCEOが“あの人(ONEアトム級ムエタイ世界王者・吉成名高)”と将来的に対戦させたいがゆえにアトム級キックボクシング王座を作るのではないか」と水を向けられると、龍心の目の色が変わった。「そうなんですかね。どっかでちょっとなめられてるなっていう感じがするんで、『なめんなよ』って気持ちはありつつ、まだ自分は何も言えない立場なんで、そういう気持ちをふつふつと持ってONEでは試合に臨もうかなと思いますね」と胸の内を吐露した。
そして会見終盤に、その「なめんなよ」という言葉の矛先がチャトリCEOなのか、名高なのかを改めて問われると、「僕は相手(名高)に対して思ってる。なんか眼中にない感じを向こうから感じるので。向こうからしたらそうでしょうけど、元々ムエタイでやってますし、キックはなかなかやってないんで、キックやるつもりもあるのかないのか分かんないんですけど、そういう気持ちは常に相手には思ってますね」と断言。さらに「自分より強いって言われてるんで、そこはムカつきますし、そこ倒せば自分が世界一だなって名乗れると思うし、『なめんなよ』っては思ってます」と、将来的な頂上決戦を見据えて強烈な対抗心を燃やした。
続けて「もしムエタイルールでの対戦を求められたら?」と聞かれると、「ちょっとムエタイルールは勘弁してほしいんですけど(笑い)。けど、そう言われたらあれなんで、どっかで挑戦してみても面白いのかなと思いつつ、そこはちょっと考えたいと思います」と含みを持たせた。まずは11月18日のジャマリ戦でストロー級の壁を打ち破り、自らの価値を再び世界に証明する。