ボクシングの大橋ジムは5日、元東洋太平洋スーパーフライ級王者井上拓真(21=大橋)が8月30日に後楽園ホールで、4度の世界戦経験を持つ久高寛之(仲里)とバンタム級契約で戦うと発表した。

 横浜市内のジムで会見した井上拓は「キャリアは上の相手。1番は自分のボクシングを徹底してやること」と抱負。昨年9月以来のプロ9戦目で、昨年11月に受けた右拳の手術からの復帰戦となる。

 現WBO世界スーパーフライ級王者の兄尚弥との兄弟世界王者を目指した昨年末の世界初挑戦への練習中、右拳の甲と手首をつなぐ関節を脱臼した。試合は中止となり、手術後は地道なリハビリを続けてきた。利き手の右が使えない代わりに、左や下半身強化に重点を置き、練習を積んできた。「右でできないことはすべてやりました」と苦しい日々を乗り越えてきた。4月ごろから右でも少しずつ打ち込み始め、いまでは痛みもなくなったという。

 世界初挑戦の機会を逃した悔しさを思いやる大橋会長は、「左の使い方がうまくなった。マグマがたまってるでしょうから、噴火に期待している」と言葉を送った。井上拓は「復帰戦をクリアして、ちいさい頃からの夢である兄弟で世界チャンピオンを実現したい」と固く誓っていた。