元世界3階級制覇王者でWBA世界スーパーフライ級2位の井岡一翔(29=SANKYO)が1年5カ月ぶりの復帰戦を完勝で飾った。WBC同級シルバー王者マクウィリアムズ・アローヨ(32=プエルトリコ)から3回にダウンを奪い、3-0判定勝利。初の同級戦で従来以上の速さ、パワー、アグレッシブさを披露。日本人初の世界4階級制覇へ向け、大みそか開催が有力な同級世界戦に弾みをつけた。

完勝だった。10回戦でジャッジの1人は99-90、残る2人は97-92。文句なしの3-0判定勝利。だが、井岡の顔はとんでもなかった。「アローヨはパンチ(力が)ありました。これだけ顔が腫れるとは思わなかった」。初のスーパーフライ級。フライ級と約1・3キロ差で世界が変わる。今更ながら思い知った。

1ラウンド(R)から先手をとった。過去にないほどのワイドスタンスと前傾姿勢でジャブ、ボディーと左を打ち分け、3R終了間際にはカウンターのワンツーでダウンを奪った。前に出て、手数で圧倒した。ところが「そうでしたか?」と言い、何十発も決めた左ボディーも「入ってましたか?」と言う。無我夢中の戦いで、より速く、より力強く、より攻撃的な“ニュー井岡一翔”を見せた。

次戦は大みそか、主要4団体いずれかの世界戦が有力。「今日は自分を客観的に見ることができなかったけど、勝ったということは通用するということでしょう」。世界4階級制覇の夢をかけたゴングに備える。【加藤裕一】