王者奥本貴之(27=グリーンツダ)が大流血をはねのけ、2-0判定勝ちで3度目の防衛に成功した。

指名挑戦者の同級1位ユータ松尾(29)の重いパンチに苦しんだ。5回には右フックをもらい、左上まぶたをカット。ところが、そこから内容がアップ。躍るようなフットワークで相手を翻弄(ほんろう)。終盤には足を止めて、打ち合いに応じ、サウスポーから高回転の左右の連打でポイントを奪った。

序盤は硬さが目立ったが、自分の血を見て目が覚めた。「パンチもらって切ったんで、焦りました。出血が結構多かったし」。7回途中にはドクターチェックを受けた。「やばい」と試合を止められる危機感を胸に、勝負に出た。

リング上のインタビューでは、ファンに「今日はうまいビール飲んで帰ってください!」と、大好きな矢沢永吉のライブでの締め言葉を使い、歓喜に酔った。最終目標は世界王座。「とにかく1歩ずつ進んでいきます」と、また1つ階段を上ったことを喜んだ。

奥本の戦績は22勝(10KO)8敗4分け。