ボクシングWBO世界スーパーフライ級2位井岡一翔(30=Reason大貴)が先制攻撃を仕掛けた。

19日の千葉・幕張でのトリプル世界戦の前日計量が18日に都内であり、6選手ともクリア。ルールミーティングでは、井岡陣営が同級1位アストン・パリクテ(28=フィリピン)の反則となる後頭部へのラビットパンチが見逃されているとクレーム。

レフェリーに的確な判断を強く求めた。再挑戦で4階級制覇達成へ、陣営は神経をとがらせた。

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計量はホテル大広間で、各選手が入場曲に合わせて壇上に上がった。井岡はパリクテとも最後にクリアすると調印式以来5日ぶりにフェースオフ。「無事に計量を終え、いいコンディションに仕上がった。あとはリカバリーをしっかり」。落ち着いた表情でゴングを待つが、舞台裏で陣営はヒートアップした。

サラス・トレーナーはルールミーティングにパソコンを持ち込んだ。パリクテは1月に4度倒して2回KOも、反則のラビットパンチを数発打ち込んでいた。試合映像をオフィシャルに見せて「反則が見過ごされている。反則をとってくれ」と強く訴えた。立ち会った日本ボクシングコミッションの安河内事務局長は「相当神経質になっていた」と話す。

チャバリエ・レフェリー(米国)は「きちんと対処する」と約束した。一方でパリクテ陣営も「頭を下げてきた相手には有効だ」と応戦。その場合は反則ではないと認めさせた。決戦前の神経戦とも言えるが、井岡もこのやりとりを見守った。あとは陣営の今度こそへの援護射撃に応えるだけだ。

勝てば、令和になって初の新王者になる。世界戦15勝目は具志堅を抜き、国内の男子最多記録を更新する。そして、日本の男子初の4階級制覇。「口ではなくパフォーマンスで示す。海外でやるために復帰した。必ず結果を出して証明する。日本でダラダラやる気はない」。1度ははね返された海外ビッグマッチへの壁を打ち破るつもりだ。【河合香】