Aブロック公式戦で飯伏幸太(37)がウィル・オスプレイ(26)との激闘を制し、2連敗からの1勝目を挙げた。

背後からオスプレイが迫る。その一瞬、悪夢がよみがえった。2人は今年の1・4東京ドームで対戦。同じ構図でオスプレイに背後から頭部に蹴りを食らい、脳振とうを起こして搬送されていた。だが、この時を待っていたかのように後ろを見ずにエルボーで迎撃。目をぎらつかせ、たぎった状態になって、ボマイェをさく裂。返されるとすぐに強烈なカミゴェを打ち込み、制限時間残り3分で勝利をつかんだ。

飯伏は左足首、オスプレイは首を痛めた状態での半年ぶりの対戦。それでもやっぱり相性は抜群だった。人間離れした2人の動きの攻防に会場が幾度となく沸いた。飯伏がかねて「10年前の自分を見ているよう」と分析する通り、似た者同士の魂がこの夜も共鳴した。

飯伏は「オスプレイ、ありがとう。僕は仲間であり、ライバルだと思っている」と再戦の喜びにひたった。

新日マット専念を決断し、初めて迎える夏。「僕はこのG1に、この夏にかけている。絶対に負けない。逃げない。あきらめない。そして、みんなを裏切らない」と満員の客席に約束した。昨年は決勝で棚橋に敗れ準優勝。「このまま優勝ですよ。優勝しかなくないですか」。確信とともに、ここから初の頂点へかけあがる。