新型コロナウイルス感染拡大後、国内初のプロボクシング興行となる中日本新人王予選が12日、愛知・刈谷市あいおいホールで行われた。当初予定の3月29日から延期されていたリングに立った選手は、さまざまな思いを胸に、感謝の思いを口にした。

第1試合で2-1僅差で判定勝ちしたミニマム級松本幸士(30=HEIWA)は「ジムのOBや仲間がずっと応援してくれて。昔世話になった人が今、熊本にいて、豪雨で被災されているのに、LINE(ライン)で激励してくれて」とうれし泣きした。元世界王者亀田興毅氏に挑戦するインターネットTV企画で経験者にボコられ、プロを志した男は「早く元通りになってほしいです」と話した。

第2試合で1回TKO勝ちし、興行解禁後の“KO第1号”になったフェザー級の宮崎裕也(23=薬師寺)は「KO決着になるとは思っていましたし、最後のパンチは覚えています」と話した。昨年12月のデビュー戦は2回TKO負けした。無観客で“借り”を返した形で「スパーリングみたいで緊張しなかったです」と話した。

スーパーフェザー級の“30代デビュー対決”を、強引な右フック一発で1回TKO勝ちした小暮経太(32=中日)は「試合が延期、延期で周りが“遅咲きやのに大変でしょう?”とか気遣ってくださって」と期待に応えられたことを喜んだ。10代で引きこもりになり、手を差し伸べてくれた親友の死に直面、兄一成さん、父孝典さんもここ数年で他界した。多くの喪失感を抱え、昔、父と一緒に見たボクシングに活路を求め、昨年11月にプロテストに合格した。

「こんな僕でも頑張れている。そういうメッセージを少しでも発信できたらうれしいです」。待望の舞台に立ったことが、何よりうれしそうだった。