天龍&ホーガン夢タッグ!観衆6万人震えた/復刻

1991年3月31日付の日刊スポーツ紙面

<日刊スポーツ:1991年3月31日付>

 プレーバック日刊スポーツ! 過去の3月31日付紙面を振り返ります。1991年の1面(東京版)は天龍、ホーガンの夢のドームタッグを報じています。

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 天龍、ホーガンの夢のドームタッグは不満の残るリングアウト負けとなった。

 6万4618人と観客動員新記録の熱狂のなか、天龍源一郎(41)、ハルク・ホーガン(35)が初めてタッグを組み、アニマル、ホークのザ・ロード・ウォリアーズと激突した。流血の壮絶な戦いは14分3秒、場外乱闘からウォリアーズが一瞬早く戻り勝ちを拾った。

 試合開始早々6万人を超す大観衆が揺れた。アニマルがホーガンを、ホークが天龍を高々とリフトアップした時だ。天龍はアニマル、ホークにすぐさま反撃の延髄斬りを見舞い、ホーガンとの夢のタッグコンビは、きらきらと輝きだした。ホーガンとウォリアーズの対決は米国でも実現したことがない。一番エキサイトしたのは、ほかならぬホーガンだった。ホークに場外戦に誘い出されると、イスを持って応戦した。ベビーフェース(善玉)として、世界のちびっ子ファンから親しまれているホーガンにしては、異例のラフファイトだった。

 ホーガン、ホークが流血するという激しい展開のなか、ひとり冷静に試合を進めたのが天龍だった。アニマルに逆水平打ち、ラリアットと着実にポイントを稼ぎ、代わったホークを伝家の宝刀パワーボムで切る大活躍ぶりだ。ホーガンとのタッチワークにしても、「すごく後につなぎやすかった」と試合後に話していた。

だが、勝負は非情だった。ホーガンが、場外戦に誘われている間に、天龍はアニマルに肩車されたところを、ホークにラリアットを食ったのが致命傷となった。なんとかはねのけ、場外に逃れたものの、場外戦からいち早くカウントアウト内にリングに滑り込んだのは、アニマルとホークだった。

 勝敗を分けたのは何だったのか。チームプレーに徹したウォリアーズと、昨夏の旗揚げからとうとうこぎつけた東京ドームで、SWSの将来を背負って戦った天龍。その中でWWFの人気を2分するウォリアーズとの対決に、いつもの余裕を忘れてしまったホーガンだったともいえる。しかし、リングアウト負けという決着だったが、試合はドーム新記録の大観衆を満足させるエキサイティングなファイトだった。天龍は3年前に後援者からプレゼントされた、ここ一番のときにしかそでを通さないガウンをまとってリングに立った。「充実感はあったけど、満足という感じじゃない」と言ったが、戦い切ったという顔つきから、納得のいく試合であったことがうなずけた。

 唯一、残念だったのは、試合後のホーガン一流の観客との歓声比べが出なかったことだろう。これには不満の声も聞こえたが、それだけ選手たちが、勝敗に重点を置き戦ったことのあかしといえる。SWSの田中八郎社長は「お祭りにならないかと心配したが、それ以上のものが出た。結果が良かったので、責任の重さも感じる」と言う。心配された観客動員も、過去最高を記録するなど、あすのSWSにつなげる大会になったことは確かだった。