村田諒太、世界奪取から始まるゴロフキンとの統一戦

お互いの健闘を誓い、言葉をかわす村田(左)とエンダム(撮影・中島郁夫)

 ドリームマッチをつかむ。WBA世界ミドル級王座決定戦は20日に有明コロシアムで開催される。18日に都内で調印式があり、ロンドン五輪金メダリストの村田諒太(31=帝拳)が元世界王者アッサン・エンダム(33=フランス)と好勝負を誓い合った。戴冠すれば、その先に見えるのは3団体統一王者ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)への挑戦。年明けにも夢対決を実現するため、足掛かりとなる世界ベルトを手にする。

 「エンダム、ポーズを変えたらずっとここにいないといけないぞ」

 「いやいや、パフォーマンスだよ。あさってはグレートな試合になるから」

 フラッシュの嵐の中で2人が笑顔を重ねた。報道陣は約150人。カメラマンの要求に応じ、構えを変える。負担を気にした村田の気遣いに、自らを「ショーマン」と言うエンダムが返す。「互いに良い関係だなと」。相手に不足はない。

 調印式の壇上。背筋を伸ばし、胸を張り、時に笑った。「これだけの舞台。強い相手を前にして尻込みしているのではなく、初挑戦は最初で最後。楽しみたい」。今は当然、眼前の試合に集中する。ただ、同時に、この試合に勝てば「対戦資格」も得られる。

 帝拳ジムの本田会長は、「勝てば、年内に防衛戦をやり、年明けにゴロフキンとやらせたい」と見通す。16連続KO防衛の世界タイ記録を持つ最強王者。WBAではスーパー王者に君臨する。9月には2階級王者アルバレスとの試合を控えるが、ともに勝利を続ければ…。村田は「もちろん、やりたい。強い選手と戦いたいですから」と話す。14年夏には米国合宿でスパーリング経験もある。

 WBAは階級に1人の王者を推進しており、実現すればスーパー王者と正規王者の統一戦が本筋。ただ、3月に前正規王者ジェイコブスが挑んだ時は、WBC、IBF含め、3本のベルトがかけられた。同じ王座統一戦も夢ではない。

 「良い未来を想像しないと、かなえることはできない。あさって、最高の結果を想像し、それを勝ち取る」

 その先の未来へつながるベルトを。【阿部健吾】