<プロボクシング:WBO世界フライ級タイトルマッチ12回戦>◇27日◇中国・青島
WBO世界フライ級王者木村翔(29=青木)が6回KOで、海外でV2に成功した。同級4位フローイラン・サルダール(29=フィリピン)に左ボディーを効かせ、5回にダウンを奪い、6回54秒KOに仕留めた。昨年に中国で日本人として36年ぶりの敵地での王座獲得から1年。第2のホームで日本人9人目、中国では初の海外防衛を果たした。次戦は同級1位田中恒成(23=畑中)との指名試合で、年末に日本人対決が見込まれている。
木村が実力、成長を示す快勝だった。パンチのある相手にスタミナで後半勝負と踏んでいた。サルダールは弟ビッグが17日に神戸で世界王座を奪取。その勢いも警戒したが「予想よりパンチがなかった」と早めに勝負。3回にコーナーに詰めてラッシュ。5回に左ボディーで膝をつかせ、6回開始から休まずに攻めてまた左ボディーで仕留めた。
約1万人収容の会場は、今や中国で人気者のKOに沸きに沸いた。1年前に上海で、オリンピックで2大会連続金メダルという中国の英雄鄒市明を番狂わせで倒した。一躍中国でも卓球の福原、サッカーの本田らに続くヒーローになった。高田馬場のジムにはこの1年で100人以上の中国人観光客がきた。「一緒に練習したい」と十数人が会員にもなったほどだ。
日本人で海外で防衛に成功したのは、木村で8人目で10度目となる。中立国では5人目だが、中国では初開催で防衛。木村は出発前日に地元熊谷が観測史上最高気温をマークに「ボクも歴史をつくる」を有言実行。「やってきたキャリアを出せれば勝てると思っていた。日本人王者として中国の地で初めて防衛できたことを誇りに思う」と胸を張った。
今回はシューズにたたき上げを示す「雑草」の文字を入れた。次は3階級制覇を狙う田中と年末に指名試合が決定的。相手は高校4冠のアマエリートと好対照は願ってもない相手。観戦した田中と控室で握手も「まだ強くなれるし、もっと有名になりたい」。今度は日本で強さを見せつけ、名を上げるつもりだ。
▼有吉将之・青木ジム会長 こんなに早く倒せるとは思わなかった。試合が決まらない中でちゃんと練習して、感謝しかない。
▼サルダール 木村のパンチは強くて、重かった。なすすべがなかった。
◆木村翔(きむら・しょう)1988年(昭63)11月24日、埼玉県熊谷市生まれ。中3で始め地元のジムに通い始めたが、高校入学後に遊びに走る。23歳で一念発起して青木ジムに入門。13年4月プロデビューは1回KO負け。その後は2分けを挟み負け知らずで、16年にWBOアジア太平洋フライ級王座獲得。昨年7月に中国・上海でWBO世界同級王座獲得。165センチの右ボクサーファイター。家族は父と弟。