那須川 KIDさんに「本当に見てもらいたかった」

3回、回転胴まわし蹴りを堀口(左)にヒットさせる那須川(撮影・横山健太)

<RIZIN13>◇30日◇さいたまスーパーアリーナ

「神童」那須川天心(20)が元UFCランカーで、総合格闘技の軽量級エース堀口恭司(27)を破った。まさに04年大晦日の山本“KID”徳郁さんと魔裟斗さんの軽量級頂上マッチの再現。スピーディーな展開の中、得意の胴回し回転蹴りを3度繰り出すなど、見るものを魅了。最終3回は怒濤の攻撃も見せ、最後は那須川が制した。

「堀口選手が自分のキックのルールで戦ってくれたこと、本当に感謝します。今日は緊張しっぱなしでした。成長できたと思います。人間と戦っているより、動物、獣と戦っているようだった」。

格闘技界の先駆者へささげる勝利にもなった。

18日に他界した山本“KID”徳郁さん。「この試合は本当に見てもらいたかったという思いが強い。昔の魔裟斗さんとKIDさんの試合を新しい世代で同じ形でやるわけですから」と那須川は気持ちを明かしていた。

04年大みそかに組まれたK-1ルールでの魔裟斗-山本戦から14年が経過した。同じキックボクシングルールで、キック界の「神童」と言われる那須川が、元UFCランカーで17年RIZINバンタム級GP覇者の堀口と対戦する構図に、運命めいたものを感じていた。「本当に1番、旬の盛り上がるカード。昔の魔裟斗さんとKIDさんのような、あのカード以上のインパクトを残したいです」と意気込んでいた。

15年12月には山本さんが主宰するジムで堀口と軽めのスパーリングを経験していた。「自分はキックボクシングを広めたいと思って、この世界に入った。負けたらキックが『ダメじゃん』となるすごいリスクのある試合。がっかりさせないように。やっぱすごいと思わせたいですね」と使命感に燃えていた。格闘技ファンの期待に応えた試合になった。