辰吉寿以輝が初1回KO「オヤジも最速2回でしょ」

松浦にTKO勝ちし、喜ぶ辰吉寿以輝(撮影・奥田泰也)

<プロボクシング:スーパーバンタム級8回戦>◇5日◇エディオンアリーナ大阪第2競技場

元WBC世界バンタム級王者辰吉丈一郎(48)の次男でスーパーバンタム級の辰吉寿以輝(22=大阪帝拳)が5日、エディオンアリーナ大阪第2競技場で56・5キロ契約の8回戦を行い、松浦大地(29=ワタナベ)を1回2分7秒TKOで破った。

プロ11戦全勝(8KO)。これまでデビュー1、2戦目の2回KOを超える、初の1回KOだ。14KO勝利を挙げた父も最速は5度の2回KOで“父超え”を果たした。

鮮やかなラッシュだった。1分過ぎ、右ボディーが入ると連打から左フックで最初のダウンを奪う。立ち上がった松浦にまたも連打で2度目のダウンを奪い、最後は敵コーナーに追い込み連打を見舞うと、レフェリーが試合を止めた。

左ジャブ、上下の打ち分けによるコンビネーションをテーマに臨んだ。辰吉は過去10戦より「自分の思ったことができたと思います」と喜んだ。リング上のインタビューでは「必ず世界をとるんで、応援よろしくお願いします」と宣言。「まあ“いつか”は言ってないんで。近未来じゃないです。ちょっとテンション上がっててイキッてしまいました」と照れたものの「でも、必ずいつかは、です」と力強く断言した。

リングサイドから見守った父は「本音を言えば、もっと余裕がほしい。倒れそうな相手にバーッでしょ? もうちょっと見て。コンビネーションって言やあコンビネーション。ボディーを打ったと言やあ打ったけど」と相変わらず辛口だったが「アマチュア経験がないから、キャリアを積むしかない。勝つことが自信につながる」と一定の評価はしたようだ。

スーパーバンタム級の日本ランカー(21位)として初の試合だった。次戦はいよいよ初の同ランカー戦となる可能性が高い。「1ラウンドKOは初めて。オヤジも最速は2回でしょ?」。囲み取材を報道陣の後ろで聞いていた父を“挑発”し、最高の1日を締めくくった。