伊藤雅雪V2逃す「本当に失望した」接近戦できず

伊藤雅雪(18年12月撮影)

<プロボクシング:WBO世界スーパーフェザー級王座戦12回戦>◇25日(日本時間26日)◇米フロリダ州

王者伊藤雅雪(28=横浜光)が2度目の防衛に失敗した。1年ぶりの米リングで、同級9位ジャメル・ヘリング(33=米国)の挑戦を受けたが、0-3の判定負け。技巧派の長身サウスポーを攻略できず、米プロモート大手トップランク社と契約後の初試合で痛い黒星を喫した。伊藤の通算戦績は25勝(13KO)2敗1分け。新王者ヘリングは20勝(10KO)2敗。

   ◇   ◇   ◇

簡単には気持ちを切り替えられない。左目の周囲を赤く腫らした伊藤は「本当に失望した」とつぶやいた。1年ぶりの米リングは、トップランク社と契約後の初試合。ヘリングに勝てば、WBC王者ミゲル・ベルチェント(27=メキシコ)との2団体統一戦も見えていた。「夢をかなえるため」とリスクのある挑戦者を選択したが、高い壁だった。

伊藤よりも、それぞれ4センチ上回る178センチの身長とリーチを持つサウスポーを攻略できなかった。パンチが届く距離まで近づけない。「左ボディーがうまかった」と警戒し過ぎ、接近戦が仕掛けられなかった。「もっとファイト(打ち合い)してくると思っていた」(伊藤)という予想も外れ、主導権を握ったラウンドは少なかった。「1発も効いた(相手の)パンチはなかった」としながらも、右ジャブをテンポよく当ててきた挑戦者にジャッジ3人の支持が集まった。

約3年前から練習拠点の半分を米国に置いてきた。日米間の指導体制を統一化するため、ルディ・エルナンデス・トレーナーとの縁が深い石井一太郎会長の運営する横浜光ジムに移籍。同トレーナーに命名された「ザ・ジャッジ」も米メディアに浸透しつつあった。さあ、これから-というV2戦でつまずいた。「何を残せるか、どんなことができるかを考えてやってきた。これが現実とは思いたくない」。簡単には世界戦チャンスが巡ってこない階級のベルトを手放し、ぼうぜんとしていた。