久保隼2階級制覇ならず ジム後輩の悔しさ晴らせず

久保隼(17年撮影)

<プロボクシング:WBA世界フェザー級王座戦12回戦>◇26日◇中国・撫州

WBA世界フェザー級10位久保隼(29=真正)が敵地中国で王者徐燦(25=中国)に6回TKO負けを喫し、2階級制覇を逃した。17年4月にWBA世界スーパーバンタム級王座を獲得したが、同年9月の初防衛に失敗。2年越しの雪辱を目指したが、日本に吉報を届けることはできなかった。

   ◇   ◇   ◇

2年越しで目指した頂に届かず、久保が散った。敵地の重圧、王者の粘り腰を想定した上で「いろいろな人にメッセージをいただき『日本でも試合をしてほしい』と言われた。勝って、日本で試合ができるようにしたい」と乗り込んだ中国のリング。だが、輝くベルトは遠かった。

相手の徐燦は試合前時点で16勝2敗。そのうちKO勝ちは2試合と、粘り強さが数字にも表れていた。「気持ちが強い選手だが、ボクシングでも、気持ちでも負けない」。昨年10月にはスパーリングで、右目を負傷するアクシデントにも見舞われた久保だが「いつもと変わらない。いつも通り45日前から準備をしてきた。調整についても深く考えていない」と冷静だった。

2年前に世界王座から陥落。山下会長は「この間の負けまでは『これでいい』と流してきた部分があった」と振り返る。防御時に体が起き上がってしまう部分を修正し、カウンターへ持ち込む形を落とし込んだ。同会長が「これまでで一番いい仕上がり」と評し、調整は万全だった。

今や「世界の顔」となったWBA・IBF世界バンタム級王者井上尚弥(大橋)ら、昨今のボクシング界の話題は関東から多く発信される。所属の真正ジムは長谷川穂積氏(38)が巣立った関西の名門だが、昨年7月に山中竜也さん(24)がWBO世界ミニマム級王座から陥落し、急性硬膜下血腫で無念の現役引退。今月には小西伶弥(25)が2度目の世界戦に挑み、地元神戸で散った。その戦いを見守り「気持ちの面でいいものを見せてもらったと思うし、そこは負けずに頑張りたい」と誓った兄貴分だったが、またしても悔しさが残った。