京口紘人が初防衛、認知度アップへ悩み抜き強打磨き

京口対ナコーン 初防衛を果たし井上トレーナー(左)と記念撮影に臨む京口(撮影・小沢裕)

<プロボクシング:WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦>◇19日◇千葉・幕張メッセ

WBA世界ライトフライ級スーパー王者京口紘人(26=ワタナベ)が、同級10位タナワット・ナコーン(26=タイ)を3-0の判定で下し、初防衛に成功した。昨年大みそかにマカオで2階級制覇を達成。さらにパワーアップした姿で凱旋(がいせん)勝利を飾った。

「4回で倒す」。そう自分にプレッシャーをかけて臨んだ。18年8月にIBF世界ミニマム級王座を返上。ライトフライ級に階級を上げ、大みそかに同級スーパー王者ヘッキー・ブドラーをKOで破り、2階級制覇を達成した。日本人4番目に早い12試合目での快挙。それでも、思っていたほどの注目は得られなかった。「どうしたらいいのか。あれだけの試合をしても認知されない。5階級制覇ぐらいしないと(世間には)出られないのか…」。存在を認めてもらうため、「面白い試合をする」。シンプルな答えにいきついた。

ライトフライ級に上げ、3戦目。「軽量級」という言葉におさまらないパワーをひたすら磨いてきた。5月には約1週間フィリピンへ。階級上のバンタム級の選手らと計20ラウンドのスパーリングをこなした。通常よりひもをきつく締めたパンチングボールを打つことで武器の左ボディーも威力を増した。

今回スパー相手を務めてきた元東洋太平洋フライ級王者中山佳祐は「前とは比べものにならない。スーパーバンタム級レベルのパンチはあると思う」と感服。井上トレーナーも「パンチ受けてて、体が疲れるんですよ」とうれしそうにぼやく。それでも京口は「まだ完成形ではない。のびしろはある」。満足せずに階級最強の王者を目指す。

試合前、クボタケことサッカー久保建英(18)と顔が似ていることが注目された。「サッカーは、人気スポーツでうらやましい。ボクシングは強いだけじゃだめ」。強くて、魅力的で、誰もが見たくなるボクシング。25歳の若き王者の追求は続く。【高場泉穂】