村田諒太「逆に大丈夫」リベンジ戦に因縁レフェリー

12日の世界戦に向けて会見を行う村田(撮影・清水貴仁)

ボクシングのWBA世界ミドル級4位村田諒太(33=帝拳)が「因縁」レフェリーも飲み込んでリベンジを狙う。12日、エディオンアリーナ大阪で王者ロブ・ブラント(28=米国)との再戦を控え、10日に大阪市内で会見。担当レフェリーが17年5月に微妙な判定でアッサン・エンダム(フランス)に惜敗した時と同じルイス・パボン氏(プエルトリコ)と同日発表されたが、村田はプラス思考で受け止め、王座奪回を口にした。

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村田は2年前の「因縁」を前向きに受け止めた。初の世界挑戦だった17年5月のエンダムとのWBA世界ミドル級王座決定戦を裁いたパボン氏が今回のレフェリーを務めることを問われ「ボクは、ちょっと気になりましたね」と苦笑。しかし、すぐに「逆に大丈夫なんじゃないですかね」とプラス思考でとらえた。また、ジャッジにも同じラウル・カイズ氏(米国)が入った。

2年前、4回に初ダウンを奪った後にも右ストレートで前のめりで倒れ込ませたがスリップ判定。以降のラウンドでもロープに体を預けなければ立っていられないエンダムに対し、ダウンの判断が下されなかった。判定負けの数日後、即座にWBAからジャッジ2人が6カ月の資格停止処分を受け、レフェリーも厳しい目を向けられた。「良い例えが見つからないですが、今回は安心なのでは」と村田。正確なジャッジが期待できると受け止めた。

所属ジムの本田会長は「(レフェリーは)WBAが指名してきたので仕方がない。みんなが分かるように勝てばいい」と期待を寄せた。既に6500人分の試合チケットが完売。当日券もない。村田は「関西弁で応援されることが多くなると思うので。関西弁はタイガーズを見ていてもすごいから、ヤジられないように頑張りたい」と笑わせた。余裕と自信が気持ちを前向きにさせていた。

会見の壇上にはWBAベルトが置かれた。「今までやってきたことを出すだけです。必ず(ベルトを)取り返すだけ。それだけです」。完璧に近い仕上がりを自負する村田が、因縁も難敵王者も、すべて打ち破る構えだ。【藤中栄二】

 

◆村田-エンダム第1戦VTR(有明コロシアム) 村田がガードを固めて前に圧力をかけ、好機に右ストレートを狙い、エンダムはフットワークを生かし、手数を多く出す展開。4回、村田がカウンターの右ストレートでダウンを奪取。強打でロープに追い込む展開でジャブ、ガードの上からのパンチで相手をぐらつかせる場面も多かったが、1-2の判定負け。試合数日後、WBAメンドーサJr.会長はジャッジ3人のうち、グスタボ・パディージャ氏(パナマ)、バート・アール氏(カナダ)の2人に対して6カ月間の資格停止処分を出したと発表。

◆ブラント-村田戦のオフィシャル レフェリー=ルイス・パボン(プエルトリコ)、ジャッジ=ラウル・カイズ(米国)、スタンリー・クリストドーロー(南アフリカ)、ジャン・ロベール・レーヌ(モナコ)、立会人=ホセ・オリバー・ゴメス(パナマ)。