ライガー敗戦も怒り消えず、鈴木みのるに再戦を要求

試合後、大の字の獣神サンダー・ライガー(右)に深々と頭を下げる鈴木みのる(撮影・滝沢徹郎)

<新日本:両国大会>◇14日◇東京・両国国技館

2人の戦いは終わらない-。来年1月の東京ドーム大会で引退する獣神サンダー・ライガーが、鈴木みのる(51)との約7年ぶりの因縁対決に敗れた。ライガーは94年橋本真也、12年鈴木と対戦した時と同じ、角がない「バトルライガー」姿で登場。激闘の末、ゴッチ式パイルドライバーに沈み、引退までの再戦を要求した。

いつもと違うライガーが降臨した。トレードマークの角と髪のない「バトルライガー」マスクで現れると、会場がどよめいた。94年2月、IWGPヘビー級王者橋本真也への挑戦時、12年鈴木との試合でしか見せていない特別な姿。「殺し合いになる」の宣言通り、覚悟を示した。

新日本の仲間だった2人が敵味方として交わったのは02年。プロレスから格闘技路線に転向した鈴木と、パンクラス横浜大会でパンクラスルールで対戦し、裸絞めで敗れた。ライガーはその悔しさから柔術を学び、一方の鈴木はプロレスへの思いを再燃させた。ライガーが引退を決めたのは今年3月。鈴木から「お前の火は消えたのか。もう燃やすものはないか」などと散々挑発を受け、怒りが再び内から湧きあがった。

試合が始まると、自ら鈴木の土俵であるグラウンドの攻防に持ち込み三角絞めをしかけた。さらに掌底や、ブレーンバスターと全力で鈴木を追い込んだが決めきれない。最後はゴッチ式パイルドライバーでマットに沈んだ。

だが、本気の思いは相手に届いていた。試合後、鈴木はあおむけに倒れたライガーの前で膝をつき、頭を下げた。対するライガーも「ありがとう」とあいさつ。「ここまで俺をブチ切れさせたのはあいつぐらいじゃないか。そのことに対して『ありがとう』だ」と話し「俺は諦めん。次、組め。あと3カ月ある」と引退前のリベンジの機会を求めた。ライガーの怒りの炎はまだ燃え続ける。

【高場泉穂】