井上尚弥、6月防衛戦に自信「この先に4団体の王座統一がある」

2本のベルトを手にするWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(提供:WOWOW)

ボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が6月19日(日本時間20日)、米ラスベガスでIBF同級1位マイケル・ダスマリナス(28=フィリピン)との防衛戦(WBA5度目、IBF3度目)に臨む。

昨年10月のジェーソン・モロニー(オーストラリア)戦に続く「聖地」ラスベガスの次期防衛戦はWOWOWで生中継されることが14日、発表された。このほどWOWOWのインタビューに応じ「この試合の先に4団体の王座統一があると思っているので高いモチベーションを持って戦える。いまは右でも左でもパンチが当たれば倒せる感覚がある」と自信をみせた。主な一問一答は次の通り。

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-モロニー戦から約8カ月ぶりのリング

井上 ケガで試合ができなかった(14年12月の)オマール・ナルバエス戦後の1年は長く感じたけれど、今回はずっとトレーニングはできているので割と早いなという感じですね。

-WBO王者ジョンリール・カシメロ(フィリピン)がメディアを通じて挑発的だが

井上 気にはなるけれどダスマリナスとの試合が決まっているので、いまはカシメロのことは考えていません。僕は4団体の王座を統一したいのであって、カシメロに興味があるわけではないので。でも、タイミングが合えば決着をつけるときが来ると思うので、そのときはパンチを当てさせずにフィニッシュに持っていきたいと思っています。

-今回はモロニー戦と同じラスベガスでの試合ですが、前回は無観客、今度は観客を入れての試合になりそうです

井上 そこがイメージできないんですよね。日本とラスベガスでどんな盛り上がりの違いがあるんだろうって。お客さんの熱によって自分のテンションの上がり方が変わってくるので、そのあたりが未知といえば未知です。

-初めて世界王座を獲得してから7年が経過

井上 あっという間といえばあっという間だけれど、じゃあこの7年間で何ができたのかと考えると物足りなさが残りますね。特にスーパーフライ級時代には7回防衛したけれど、納得できるような感じがないんです。

-バンタム級ではイメージ通り

井上 いや、イメージしていた以上です。バンタム級での初戦が(WBA正規王者)ジェイミー・マクドネルで、次がWBSSの初戦で(元WBAスーパー王者)ファン・カルロス・パヤノ。(IBF王者)エマヌエル・ロドリゲス、(4階級制覇王者)ノニト・ドネア、そして(WBA2位、IBF4位)モロニーと、スーパーフライ級時代と比べるとすごく充実しています。

-現在はウエートもバンタム級がもっともフィット

井上 そうですね、一番フィットしていると思います。でも少しずつ体重がきつくなってきているのも事実なので、今年、来年と様子を見ながら遠からずスーパーバンタム級に上げる日が来るかも。ただ、無理して階級を上げようとは思いません。(体重が)適正じゃないと意味がないと思っているので。

-この7年で成長したと感じる部分はどこか

井上 精神的にもそうですが、自分が試合でやらなくちゃいけない技術であったりメンタルの持っていき方であったり、そういう点が少しずつ成長してきて、それが今の階級で生きてきているのかなと思います。

-IBFの指名試合となるダスマリナス戦ではなく、王座返上で他相手との対戦は考えたのか

井上 4団体の王座を統一してバンタム級で一番強いということを証明したいので、この試合をクリアして統一戦に臨みます。

-ダスマリナスの印象は

井上 ひょろひょろと背が高くてリーチがあり、右フックを大きく振ってくる選手ですね。もっと攻撃的でゴリゴリと前に出てくるのかと勝手に思っていたけれど、弟(井上拓真)とのスパーリングや木村(隼人)選手との試合の映像を見る限り、意外と足を使ったりして動く選手だなという印象です。

-捕まえにくいタイプか

井上 来るときは来るので、そういうときにはカウンターが生きると思います。モロニーと比べると穴があるので、(どんな選手か)感覚としてはとらえています。

-ダスマリナスはIBF1位です

井上 ポイントはそこではなく、今回は次の統一戦に向けたステップの試合という位置づけですね。これをクリアすれば統一戦が組まれると思うので、かなりモチベーションは高いですよ。

-今回の注意点は

井上 ダスマリナスはパンチと一緒に頭を前に出してくるので、そこは注意しないと。パンチでは右フックですかね。角度が大きく、外から来るので。

-過去にナルバエス、パヤノと2度、サウスポーと対戦。早い回で倒したが

井上 (サウスポーは)やりにくくはないですね。アマチュア時代から苦手ではないです。ただ、ナルバエスやパヤノと違って今回の相手は長身のサウスポー。その点が初めてなので戦うのが楽しみですね。

-右構えとサウスポーでは戦い方が変わるのか

井上 サウスポーとの試合で気をつけなくちゃいけないのは相手の左ストレートなんです。特に上下に散らされると見えない角度で来ることがあるので。でも、サウスポーとの戦いは、前に出ている互いの手と足が当たるので駆け引きがしやすいんです。右構え同士の場合は左ジャブの差し合いがせわしないけれど、サウスポーとの戦いは左手で相手の右を押さえてしまえばいいので自分にとっては楽ですね。

-プロ20戦のうちフィリピン人と4度対戦済み

井上 4人ですか? デビュー戦と東洋太平洋タイトルを獲得した試合、それにワルリト・パレナス、ドネア…本当だ。でも4人には同じような特徴は感じませんね。スパーリングパートナーとして来てもらっていたフィリピン選手は、いかにもフィリピン選手独特という特徴があったけれど、そういう選手と試合はしたことがなかったんです。そういう意味ではダスマリナスはフィリピンのボクサー特有の選手かも。パンチの出し方、角度など独特ですから。初めて戦うタイプなので対戦が楽しみですね。KO率も高い(約61%)ですよね。

-どんな展開をイメージ

井上 僕が追いかける展開になると思います。

-早い決着も想像

井上 いや、早くないです(笑い)。長丁場も考えています。ともかくアグレッシブな試合をして、自分が納得できる試合をしたいですね。

-今回自らに課すノルマは

井上 判定まで行っちゃダメだなと。でも、そうすると自分でハードルを上げることになっちゃう(笑い)。今回は内容が問われる試合だから一方的な内容じゃないと次につながらないので、タイミングが合えば倒したいですね。

-その先、1年後の自分をイメージできるか

井上 タイトルを統一していたい…ですね。12月には3団体、そしてタイミングが合えば来年4月あたりに4団体統一。それがちょうど1年後ですね。

-最後に意気込み

井上 次の統一戦に向けて今回はしっかり結果を出さないといけないと思っています。いまは右でも左でもパンチが当たれば倒せる感覚があるので、相手に何もさせずに勝つだけです。

◆井上尚弥-マイケル・ダスマリナス戦放送=6月20日午前10時30分からWOWOWプライムで生中継