<新日本:メットライフドーム大会>◇4日◇メットライフドーム
IWGP USヘビー級王者棚橋弘至(44)が、飯伏幸太(39)を破り、初防衛に成功した。カミゴェを受けるなど膝蹴りに苦しんだが、連続のハイフライフローで勝利。8月米国大会での初戴冠後、2週間の隔離を経ての試合だったが「100日間ダイエット」で引き締まった肉体からキレのある技を連発した。
試合後は誤嚥(ごえん)性肺炎から2カ月ぶりに復帰して感極まる飯伏につられて号泣。以前と変わらぬ動きに安心し「飯伏お帰り。まだまだ夢の続きがあるよ」とエールを送った。7月東京ドーム大会では飯伏の代役として、IWGP世界ヘビー級選手権試合に出場。「昨年ずっとトップで引っ張ってきたのにちょっとつまずいた。飯伏への期待感もある」と悔しい思いをくみ、挑戦者に指名。復活の場を提供した。
応援が力になっていることを改めて感じた。米国大会後、SNSで「少し先の日本を見てきた」とつづった。1年半ぶりの有観客で、コーナーに登った時の「タナハシー!」の声を活力に変え勝利。「プロレスと声援は切っても切れない関係」と実感した。
プロレス界を元気にしたい。昨年はコロナ禍で興行が中止となり、今年5月には選手にも感染者が続出。収容人数50%でも満員にならない日が続いた。00年代の低迷期を支えてきた棚橋にとって2度目の危機。野球少年だった棚橋は、元巨人の角盈男投手の「ピンチの時には角盈男」の言葉を用い「ピンチの時には棚橋弘至」と新日本を救う覚悟を見せる。「大きな不景気の波を2回経験して立て直した男はいないと思う。歴史に名を残すチャンス。100年に1人の逸材になり得る」と前を向いた。
18日からはG1クライマックスが始まる。その先にはIWGP世界ヘビー級のベルトも視野に入れる。「これからはぜひ棚橋目線で見てもらえたら。コロナ禍を乗り越えて王者にたどり着く物語をお見せする」。飯伏の復活と、自分の強さの両方をファンに届けた。「ちょっとずつ明日が明るく、楽しくなりますように。愛してま~す」。これからもピンチをチャンスに変えるべく、棚橋はリングに立ち続ける。【松熊洋介】