<EXECUTIVE FIGHT~武士道~>◇10日◇東京・八芳園
大みそかのRIZIN出場あるか-。元年俸120円Jリーガーで昨年から格闘家に転向した安彦考真(43)が、テコンドーの19年全日本ジュニア王者の裕次郎(17)に判定3-0で勝利し、デビュー3連勝を飾った。8選手による75キロ級トーナメント1回戦(キックボクシング、2分×2回)を勝ち上がり、来年の準決勝に進出。目標としていたRIZIN33大会(31日、さいたまスーパーアリーナ)出場も「諦めていない。まだ枠はある。オファーがあるはず」と叫んだ。
ゴングと同時に飛び込んできた裕次郎に慌てなかった。テコンドーの技を出させないように接近戦に持ち込み、膝蹴りとパンチを次々と浴びせた。魂をぶつけ合った攻防は、途中もみ合って場外に転落するシーンも見られるほど。2回にダウンを奪い、その後も優位に試合を進めた安彦が勝ち名乗りを受けた。
普段から一緒に練習をする裕次郎との対戦。オファーを受けたときには「お互い手の内を知っている。やりにくいな」と感じたという。4月には練習でボコボコにされており、裕次郎に教わることも多いが「26歳差。人生の厳しさを教えて、これから世界を取る裕次郎に大きな壁になってやろうと」。初めてダウンした17歳に悔し涙を流させた。
「この試合でやってきたことの答え合わせをしたい」と語っていた。毎日3時間、過去2戦以上にトレーニングを積んできた。「今までで一番追い込んだ」。走り方の指導者から瞬時に足を出す方法を教わり、ダッシュを重ねた。サッカー選手の得意とする「走力」だが「今までやってきたものと全然違う」と下半身強化に取り組んだことを生かし、常に前に出続けた。
目標とするRIZINの大みそか大会では、尊敬するキングカズことJリーグ横浜FC三浦知良(54)の次男孝太(19)のデビュー戦が行われる。以前「チャンスがあれば戦ってみたい」と野望を明かしたこともある安彦。大先輩の息子でも「殴って傷つけたら…なんてことは全くない」と話す。現時点で孝太は総合格闘技を予定しており、キックボクシングの安彦との対戦の可能性は低いが「オファーがあればいつでも」と待ち望む。
この日は、「少しでも頑張っている姿を見せられたら」と、格闘家転向に反対している両親を初めて会場に呼んだ。高3時に単身でブラジルに渡り、その後社会人を経験。39歳でのJリーグ挑戦など、自分の夢にまっすぐに突き進んできた。「リングの上は人生も物語る」。初めて見る両親に、ファイターとしての勇姿をしっかりと届けた。格闘家転向1年。挑戦モンスターの夢が現実になる日がまた近づいた。【松熊洋介】