【フィジカル担当に聞く】井上尚弥の適性階級とは?Sバンタム級転向は?

高村トレーナー(上)に支えられ、手押し車で階段を登る井上

ボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が14日、東京・両国国技館で挑戦者となるIBF世界同級5位アラン・ディパエン(30=タイ)との防衛戦(WBA6度目、IBF4度目=日刊スポーツ新聞社後援)に臨む。15年末から井上のフィジカルトレーニングを担当している高村淳也トレーナーが井上の適性ウエートとスーパーバンタム級転向への準備などについて、このほど日刊スポーツの取材に応じた。

-井上のバンタム級は適性

高村氏 バンタム級で、まだまだやれると思いますね。減量がきつくなっているかどうか、まだ細かく確認していないですが、ライトフライ級、スーパーフライ級の時のような苦しさはないと感じています。体格、筋肉量、減量とバランスがいいと思っています。

-来年以降のスーパーバンタム級転向を想定するとなると

高村氏 もし階級アップした時、半年~1年ぐらいは慣らす期間が必要かもしれないですね。簡単には感覚がつかめないところはあると思います。ライトフライ級、スーパーフライ級最後の頃というのは、ある意味、限界を超えて減量していたのではないかと想像しています。今は許せる範囲で減量しているように感じていますから。

-バンタム級で減量苦が少ないとなるとスーパーバンタム級アップは体格的にも簡単ではないのか

高村氏 身長や体格など全体のことを見る必要があります。これまでとは違うステージの転級になると想像しますね。多少、時間をかけて、肉体と相談しなくてはならないでしょう。階級制スポーツでは、この1~2キロ増がシビアなところになってきますから。

-単に増量すればいいというわけではないのか

高村氏 一般男性が2~3キロほど増やすこととは明らかに違います。筋肉だけを育てるだけなら何カ月かで可能ですが、その筋肉に伴うパフォーマンスができなければいけないですからね。血肉となって、さらに動けなければ意味がないです。ここからは少し違う段階に入るのでは。

-体格差の影響があるのか

高村氏 例えばボクサーは試合当日に5キロ増、多い選手ですと7キロ増と体重アップします。その分の体重差を埋めるための肉体改造をしなくてはいけない。もし4団体統一という1つの偉業を成し遂げた後にスーパーバンタム級に上げるとすれば、あらためて言いますが、そこからの階級アップは違ったチャレンジになると思います。階級を上げるという井上選手の挑戦もこれから称賛されるといいなと思います。【取材、構成=藤中栄二】