【村田諒太vsゴロフキン】井上尚弥がエール「日本史上最大の勝利を」勝つには前半勝負

17年12月、試合後、村田諒太(右)と談笑する井上尚弥

<4・9村田諒太VSゴロフキン 日本史上最大の決戦:1>

日本史上最大の勝利を!! ボクシングWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が、9日にさいたまスーパーアリーナで大一番を控えるボクシングWBA世界ミドル級スーパー王者村田諒太(36=帝拳)の勝利を願う熱い応援メッセージを送った。世界的スターとなるIBF世界同級王者ゲンナジー・ゴロフキン (39=カザフスタン)との2団体王座統一戦の価値と意義を強調しつつ「日本史上最大の勝利を狙ってください」と期待を寄せた。【取材・構成 藤中栄二】

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9日に迫った村田-ゴロフキン戦に向け、ボクシングファン以上に井上は胸を躍らせている。

「ゴロフキン選手が日本に来て、村田さんと試合をする。信じられないぐらいの戦いです。自分もゴロフキン選手の姿を見ていないのでまだ信じられないです。その上で今回、村田さんが勝てば『日本史上最大の勝利』という言葉が当てはまると思います。村田さんに日本史上最大の勝利を狙ってほしいです」

階級は違えど、井上はミドル級世界戦で最多タイの20度連続防衛を誇るゴロフキンの強さを知っている。

「カネロ(4団体統一スーパーミドル級王者サウル・アルバレス)戦などをみていますが、ゴロフキン選手は『怪物』です。特に左フックは自分もマネしています。テンプル、おでこあたりにパンチを当てるところです。その印象がすごく強いですね」

1試合で10億円以上を稼ぐほどの人気、そして3団体(WBA、IBF、WBC)のミドル級世界ベルトを統一した実力。元世界統一ヘビー級王者マイク・タイソン以来の大物来日といわれるゴロフキンと拳を交える村田の勝機とは。

「村田さんが勝つには前半勝負だと思います。自分が気にしているのは両者とも長いブランク(村田は2年4カ月、ゴロフキンは1年4カ月)があること。どちらが早く試合感覚をつかむのか。ブランクによる試合感覚をゴロフキン選手が戻す前に、村田さんがスタートから前に出ていけば勝負できると。それで村田さんの右は入ります。五輪で金メダルを獲得した、あの前半勝負のフィジカルはカギになると思っています」

軽量級とは興行規模も1~2ケタは多いミドル級で、2本の世界ベルトが懸けられるビッグイベント。欧米など本場でしか実現しないカードであることは、米英で試合してきた井上だからこそ感じている。

「現在のゴロフキン選手の立ち位置を考えれば今後、村田さんのようなボクサーは絶対に出てこないと思います。五輪金、プロ世界王者になったから実現した戦い。村田さんがその地位、立ち位置に来ているから。村田さんが初めて世界王者対決することを楽しみにしています」

井上は「兄貴分」と慕う村田を応援する気持ちと期待に満ちあふれている。

<村田は最終調整入り>

先週末にスパーリングを打ち上げた村田は今週から都内の所属ジムで最終調整に入っている。昨年11月に来日し、約4カ月間も練習パートナーとしてゴロフキン対策に取り組んでくれた元メキシコ王者アドリアン・ルナと北米王者ホセ・デ・ヘスス・マシアス(メキシコ)が帰国。村田は「本当に感謝に尽きます」と所属ジム公式サイトを通じてコメント。減量も順調に進んでいるという。

<井上尚弥がアマプラ出演>

井上は村田-ゴロフキン戦が生配信されるAmazonプライム・ビデオにMC、実況、解説陣とともに出演する。19年11月に開催された階級最強を決めるトーナメント、ワールド・ボクシング・スーパーシリーズのバンタム級決勝でノニト・ドネア(フィリピン)と対決した思い出の会場に足を運ぶだけに、井上も楽しみにしている。また10日付の日刊スポーツの紙面でも観戦記を寄稿することになっている。

◆井上尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日、神奈川・座間市生まれ。父真吾さんの影響で小学1年から競技を開始。相模原青陵高時代にアマ7冠。12年にプロ転向。国内最速(当時)6戦目で世界王座(WBC世界ライトフライ級)奪取。14年にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得し、史上最速(当時)の8戦目で2階級制覇。18年にWBA世界バンタム級王座を獲得し、国内最速(当時)の16戦目で3階級制覇。18年にWBA世界バンタム級王者に。19年11月、WBSSバンタム級優勝。164・5センチの右ボクサーファイター。