<WBOアジア・パシフィック、日本スーパーバンタム級王座統一戦>◇7日◇さいたまスーパーアリーナ
元WBC世界バンタム級暫定王者で現WBOアジア・パシフィック・スーパーバンタム級王者の井上拓真(26=大橋)が、日本同級王者の古橋岳也(34=川崎新田)に3-0の大差判定勝ちで王座を統一した。兄でWBAスーパー、IBF世界バンタム級王者の井上尚弥(29=大橋)との2年7カ月ぶりの兄弟同興行出場で快勝し、世界王座返り咲きへ前進した。
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ジャッジ2人が120-108と、全ラウンドを井上拓にポイントを付ける完勝。それでも、勝者は不満げだった。「徹底して足を使えば勝てるが、それでは世界に通用しないので、体力負けしない試合にするつもりだった。その意味で課題が残る」。あくまで“世界”を照準に、試合内容を厳しく分析した。
開始からスピードのあるパンチを高い精度で決めて、ポイントを奪った。接近戦では何度も右アッパーをクリーンヒット。しかし、体ごと押して連打を繰り出す古橋を最後まで仕留められなかった。「自分の適正はバンタム級。1階級上で体力勝負した経験はバンタム級に下げたときに生きる。そこは収穫」。試合後も笑顔はなかった。
世界王座も獲得し、東洋太平洋王座は2階級制覇。17年から国内公認となったWBOアジア・パシフィック王座も手にした。この日、日本王座も加えて手にしたタイトルは計5本。兄尚弥とは違う道の「日本人初」。試合前、父真吾トレーナーは「また世界王座を目指すため、しっかりと結果を残せばいい」と強調していた。
兄尚弥との興行同時出場は19年11月以来、2年7カ月ぶり。会場も同じ。兄弟競演は「調整が一緒にできるので高め合いながらできる」と相乗効果があるという。前回は暫定王者として臨んだ統一戦で、当時のWBC正規王者ウバーリ(フランス)に判定負け。その嫌なイメージも払拭。「今回は(尚弥に)いいバトンを渡せた」と少しだけほおが緩んだ。
スーパーバンタム級でも日本、アジアの王座を確実に確保していれば、バンタム級と2階級で世界挑戦を見据えることが可能。しかし、井上拓の照準はあくまでバンタム級。兄の後を狙う。「焦っても仕方がない。いろんな経験を積んで成長して、世界挑戦が決まったら一発で取りたい」と、自分に気合を入れるように言葉に力を込めた。
◆井上拓真(いのうえ・たくま)1995年(平7)12月26日、神奈川・座間市生まれ。父真吾氏と兄尚弥の影響で4歳からボクシングを始め、小学校入学と同時に本格的な練習を開始。11年高校総体ピン級優勝、12年高校選抜ライトフライ級優勝の2冠。13年12月に大橋ジムからプロデビューし、のちにWBO世界ミニマム級王者となる福原辰弥を相手に判定勝利。15年7月に東洋太平洋スーパーフライ級王座を獲得し、2度の防衛後に返上。18年12月にWBC世界バンタム級暫定王座を獲得も19年11月に正規王者ノルディーヌ・ウバーリに敗れて王座統一に失敗。身長163センチの右ボクサーファイター。血液型はA。