「井上尚弥2世」アマ13冠・堤駿斗プロデビューは判定勝利「目標は2年以内に世界王者」

1回、堤(右)はジョン・ジェミノに強烈なパンチを見舞う(撮影・足立雅史)

<プロボクシング:フェザー級8回戦>◇13日◇東京・大田区総合体育館

16年に日本男子初のボクシング世界ユース制覇などアマ13冠の実績を誇るルーキー堤駿斗(23=志成)がプロデビューを白星で飾った。東洋太平洋フェザー級5位ジョン・ジェミノ(30=フィリピン)とのフェザー級8回戦に臨み、3-0の判定勝ちを収めた。

習志野高3年時の17年全日本選手権で井上尚弥以来、6年ぶりに高校生王者となり「井上2世」と呼ばれてきた堤がプロ舞台で着実な一歩を踏み出した。

1回から得意のワンツーでジェミノを後退させた。3回には接近戦を始めた相手に対し、右ボディー、左フックなどで応戦。4回には左ボディーで動きを止め、素早くワンツーを狙った。5回には前に出るジェミノに対し、足を使って距離を保ち、右強打、左ボディーを打ち込んだ。リズム感あるファイトで8回を戦い終えた堤は「ダウンもなく、インパクトある勝ち方はできず悔しい。プロの経験のなさかなと。経験を積まないとこの先がみえてこないと思った」と、世界という上を見ているからこその反省を口にした。

世界ユース制覇などアマ時代の実績が評価され、B級(6回戦)プロテスト合格ながらも、井上尚弥(大橋)らと同じ特例のA級(8回戦以上)でデビューした。「自分にしかできないボクシングで、これが堤駿斗のボクシングというのを見せたい」と強いプロ意識を持ってプロ初陣のリングに立っていた。

5月中旬から約3週間、米ラスベガス合宿を敢行した。同門の先輩、WBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔も師事する名トレーナー、イスマエル・サラス氏に指導を受け、ロンドン、リオデジャネイロ両オリンピック2連覇のロベイシ・ラミレス(キューバ)ともスパーリグしてきた。堤は「ラスベガスで学んだ技術や戦術の組み立ては、帰国してから見直したり、生かしてスパーリングにつなげたりもできた」と説明。アマで培った能力をプロでも生かすようなスタイル変更が進めてきた。

発奮材料もあった。同じ東洋大ボクシング部で活動したした史上初の高校8冠を含むアマ10冠の実績を持つ今永虎雅(大橋)が2回TKO勝ちデビューを飾っており「切磋琢磨(せっさたくま)していきたい。みんなから刺激をもらっている。自分も良い試合して、仲間に良い刺激を与えられるような試合をしたい」と触発されていた。

前日12日が23歳のバースデーだった。試合後に祝うために千葉県内の実家にはお取り寄せケーキが用意されている。「良い1年にしたい」と宣言した通り、自らのバースデーを祝う勝利となった。「目標は2年以内に世界王者になることです」とプロ転向会見で宣言していた堤は「次に成長を見てもらえるように練習と経験を積んでいきたい」と次戦を見据えた。正統派の23歳が、白星発進でプロの扉を開いた。【藤中栄二】

 

◆堤駿斗(つつみ・はやと)1999年(平11)7月12日、千葉市出身。小学5年で空手からボクシングに転向。キックボクシングも並行して習い、ジムでは無敗の格闘家那須川天心と一緒に練習。中学2年からボクシング一本に。U-15、アンダージュニアなどで全国制覇。習志野高時代はフライ級、バンタム級で高校6冠を達成。全日本選手権も制覇するなどアマ13冠。アマ戦績は88勝(26KO・RSC)6敗。家族は両親と兄、弟。身長171センチの右ボクサーファイター。