元年俸120円Jリーガー安彦考真が結婚なれそめ コロナ禍でのインスタ投稿の言葉刺さった

元年俸120円Jリーガーで格闘家の安彦考真(右)と妻の真佐美さん

元年俸120円Jリーガーで20年末から格闘家に転向した安彦考真(45)が31日、結婚したことを発表した。

同日は5年前に安彦がJ2水戸ホーリーホックでプロ契約書にサインし、40歳で幼い頃からの夢をかなえた思い出の日だという。

相手はサッカー選手時代に知り合っていたプロダンサーを目指していた経歴も持つ真佐美さん(34)で、格闘家デビュー戦などの入場時を盛り上げるダンスを任せるなどして親交を深めて昨年のクリスマスイブにプロポーズ。一粒万倍日と天赦日などが重なる縁起の良い日とされ、格闘家としての試合後に観客と合唱する「3・2・1 Vamos!」のかけ声にもかけた3月21日に都内の区役所に婚姻届を提出した。

取材に応じた安彦が、なれそめについて明かした。最初のきっかけは共通の知人によるインスタグラムの投稿。コロナ禍で世の中が揺れていた20年3月。知人の投稿にタグ付けされていた安彦を偶然、真佐美さんが目にし、安彦が自身のアカウントでつづっていた「その足を止めるな!あと1歩、それを何度でも繰り返す」という言葉に胸を打たれたという。「当時、悩みを抱えていた自分に刺さる言葉でした」(真佐美さん)。

その後、真佐美さんも投稿で安彦をタグ付けし、メッセージをやりとりするように。当時安彦はまだJ3のYSCC横浜に所属していたサッカー選手で、コロナ禍でリーグ戦が止まっていた頃。数カ月間、メッセージだけのやりとりが続いていたが、真佐美さんの誕生月でもある8月に初めて会うことに。彼女の地元、北海道を観光し、その1週間後に安彦から電話で告白した。

結婚を前提としたものだったため、真佐美さんはすぐに返事はしなかった。「ちょっと待ってほしいと言われて」(安彦)。数日後に「私で良ければ」とOKをもらった。安彦は「ドキドキしていて、チームメートにも言っていたので『これでダメだったら(チームメートの)お前の家行く』とか話してました(笑い)」。真佐美さんは「(安彦が)『やったー、やったー』って小学生みたいに喜んでました」と笑った。

その後、20年シーズン限りでサッカー選手として現役を引退した安彦は格闘家の道へ。北海道と東京という遠距離恋愛ながら真佐美さんは試合がある度に会場へ駆けつけ、格闘家デビュー戦後には安彦の両親とも対面。結婚へのイメージは自然と膨らんでいった。

交際中は毎日約1時間の電話を欠かさなかったという。真佐美さんは「どんなに疲れていてもフォローというか、連絡はマメにしてくれる。ほとんどけんかもなかったですね」と明かし、安彦は「自分、意外とそうなんですよ」と照れた。安彦の両親も、息子の変化を感じ取っていたといい、「今まであの子があんな優しい表情をみせたことはなかった」と真佐美さんに打ち明けていたという。

互いにサステナブルな生活に関心があることから、結婚指輪は同様のコンセプトを持ったHASUNAを選んだ。児童労働がないという証明があるものの中から探し「戦争前のものであることも確認して、ロシア産を選びました」(安彦)と明かした。

出会いから約3年で結ばれた恋。安彦は「ついに書面上でも奥さんになりましたが、ずっとそういうつもりでした。これから普段の生活からも一緒になってどう変化があるか」と新生活への思いを語り、真佐美さんも「試合前はこんな感じでスイッチ入るんだなとかがだんだんわかってきました。今までは近くで支えることができなかったので、これからは勉強しながら支えられたら」と笑顔で話した。【松尾幸之介】

◆安彦考真(あびこ・たかまさ)1978年(昭53)2月1日、神奈川県生まれ。高校3年時に単身ブラジルへ渡り、19歳で地元クラブとプロ契約を結んだが開幕直前のけがもあり、帰国。03年に引退するも17年夏に39歳で再びプロ入りを志し、18年3月に練習生を経てJ2水戸と40歳でプロ契約。出場機会を得られず19年にJ3YS横浜に移籍。同年開幕戦の鳥取戦に41歳1カ月9日で途中出場し、ジーコの持つJリーグ最年長初出場記録(40歳2カ月13日)を更新。20年限りで現役を引退し、格闘家転向を表明。21年4月にアマチュア格闘技イベント「EXECUTIVE FIGHT 武士道」で格闘家デビュー。プロとしては22年2月16日にRISEでデビューを果たした。プロ格闘家としては通算2勝1分け1敗。175センチ。