天心へ-。「めざせ スーパーサイヤ人!!」。プロ格闘家の那須川龍心(16=TEAM TEPPEN)が6日、人気格闘家からプロボクサーに転向した実兄・那須川天心(24=帝拳)へエールを送った。
「神童」と呼ばれる兄、常に言われ続ける「天心の弟」。比べられる拳に抱く感情は、嫉妬ではなく、純粋な愛だった。【取材・構成=栗田尚樹】
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色紙にメッセージをお願いすると、龍心は無心にペンを走らせた。「天心へ めざせ スーパーサイヤ人!!」。笑いながら言った。「すごい期待感は持てる。やってくれるんじゃないか? って。絶対なれないじゃないですか? でも、やってくれるんじゃないか? と思わされます」。
いつも驚かされてきた。中学1年の時、兄と同じくプロ格闘家の道へ進みたいと思った。相談を持ちかけると、返ってきた答えは想像を超えていた。「世間的にいいのか分からないですけど(笑い)『普通の高校は行かなくてもいい。ある程度、コミュニケーション能力さえあれば社会で生きていける』って(笑い)」。定時制高校でプロを目指した兄だからこその言葉。龍心は通信制高校で格闘技の時間に没頭した。
自慢の兄。嫉妬はない。付いて回る「神童の弟」。まとわり続ける枕詞(まくらことば)も「特に…(笑い)何とも思っていなかった」。兄が、天心だから-。
龍心 人より注目される点ではいいと思うし、他の人には体験できないことを体験しています。もちろん比べられるというのは、格闘技をやっている身として、嫌だなと思いつつ、普通は(天心と)比べられないじゃないですか? 比べられている時点で期待はされていると思う。
龍心は言う。「普通のお兄ちゃん」と。「格闘技面はちゃんとしている。オフに関しては…尊敬はないです(笑い)」。小学校の時、毎朝の日課は高校生の天心を起こすこと。「天心は昔、寝起きが良くなかった。起こしに行っても威圧してくるんですよ…。天心から怒られて、食卓に戻ると会長(父)から『また行ってこい』と怒られて…。その板挟みで」と笑った。あの時の兄へ「ちゃんと起きろって言いたいですね」といたずらっぽく笑いながら「でも、今は寝起きいいですよ」とフォローも忘れなかった。
兄の新たな挑戦。「不思議ではなかった」。弟にしか分からないものがあった。「負けているところを見たくない」「無敗のままいてほしい」と続けた。「ミーハーな意見になってしまうんですけど、井上尚弥選手との試合は見てみたいですね。天心はこれから初戦なので、何とも言えないですけど、井上選手は強いですからね…」。そんな風に、心配するのも、また兄思いの優しい弟の顔。龍心から天心へ-。そこにあるのは、ねたみではなく、無垢(むく)な愛だった。