日本ボクシングコミッション(JBC)は21日、プロボクシング元世界4階級制覇王者・井岡一翔(34=志成)のドーピング検査で採取された検体が禁止物質である大麻成分(THC)の陽性反応を示していたと発表した。
検体は昨年12月31日に引き分けたジョシュア・フランコ(米国)とのWBA、WBO世界スーパーフライ級王座統一戦後の検査で採取されたもの。世界アンチドーピング機関(WADA)による上限の基準値よりも少ない微量のため、JBCは「ドーピング禁止を定めるJBC第97条には違反しなかった」と判断。24日の王者フランコとの再戦となるWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ(東京・大田区総合体育館)は予定通り開催される見通し。
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五輪競技などでは、ドーピング検査で採取したA検体から違反が疑われる結果が出た場合、速やかに選手本人に通知して、暫定的な資格停止が科される。その後、B検体の分析や聴聞会での意見陳述が行われるなど明確な手順がある。
日本アンチ・ドーピング機構(JADA)に加盟していないJBCはこの手順を徹底しておらず、1月26日に井岡のA検体の陽性反応が判明した後、対応をめぐって倫理委員会の議論が長引き、井岡側に正式にB検体の検査を通知したのが5月26日。この大幅な遅れが、世界戦3日前の発表となり、混乱を大きくした。
2年前に井岡から大麻成分が検出されたと報じられた際、JBCの管理方法などに重大な不備が判明し、井岡側に謝罪した経緯があったので、慎重になった理由も分かる。しかし、次戦決定前に迅速に対応していれば、混乱を最小限にとどめた可能性もあった。この2年間で倫理委員会は立ち上げたものの、詳細な手続きまで決めていなかった。
一方でJBCはTHCの代謝物が、世界反ドーピング機関(WADA)が規定する尿中濃度の境界値を下回るため違反ではないと結論づけて、試合は予定通り行う決定をした。
大麻に対する法規制は国や地域によってまちまちで、米カリフォルニア州やカナダなどでは合法化されており、WADAも13年に尿中濃度の境界値を15ng/mLから150ng/mL(判定限界は180ng/mL)に大幅緩和した経緯がある。
この規定をJADAも世界統一ルールとして適用しているが、大麻の所持や譲渡などが処罰の対象となり、若年層の違反増加が社会問題化している日本で「微量は違反とせず」のルールが適正なのか疑問は残る。
JBCの発表に井岡側は「潔白を証明していく」と対決姿勢を打ち出しており、世界戦後も余波は続きそうだ。井上尚弥らの活躍で日本ボクシング界への注目度が高まっている時だけに残念だ。【首藤正徳】