【連載】世界戦20連勝ならメイウェザー、チャベスら伝説級の偉業/井上尚弥 史上最大の挑戦

井上尚弥(2023年7月15日撮影)

<井上尚弥 史上最大の挑戦 中>

プロボクシング元4団体統一世界バンタム級王者の井上尚弥(30=大橋)は、WBC、WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン(29=米国)に勝てば、世界戦20連勝の大台に到達する。日本人2番目がWBA世界ライトフライ級王者の具志堅用高氏の14連勝なので、記録は突出している。

過去に世界戦20連勝を無敗で達成した王者は伝説的な名選手ばかり。最多は50戦不敗で引退した5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米国)の26連勝。3階級制覇王者フリオ・セサール・チャベス(メキシコ)の25連勝がこれに続く。

20連勝という数字は、10年前後に及ぶ長期間にわたり、世界トップ戦線を勝ち抜いてきた証しでもある。強力なライバルが現れても、コンディション調整に失敗しても、試合中の負傷などのアクシデントに見舞われても、勝ってきたのだ。名王者といえど、達成するのは簡単ではない。

ちなみに6階級を制覇したオスカー・デラホーヤ(米国)は20戦目にライバル王者フェリックス・トリニダード(プエルトリコ)との統一戦に判定負け。ミドル級歴代最強とも言われたゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)も、20戦目にサウル・アルバレス(メキシコ)との王座統一戦で引き分けている。

今年、世界王者になって10年目を迎える井上にも何度か窮地があった。

WBO世界スーパーフライ級王者時代の16年9月、同級1位ペッチバンボーン(タイ)との防衛戦直前には激しい腰痛に見舞われた。「イスから立ち上がるのもやっとの状態だった」と大橋会長。試合序盤に右拳も負傷。それでも10回KO勝ち。世界戦で勝ち続けるには技術やパンチ力とともに、強靱(きょうじん)なメンタルが不可欠なのだ。

ミニマム級で21度防衛したリカルド・ロペス(メキシコ)ら、無敗で世界戦20連勝を記録した王者の多くは、同じ階級での長期防衛で記録している。井上がフルトンに勝てば4階級制覇、しかもバンタム級時代の王者同士の統一戦を含む20連勝だけに価値がある。記録の上でもメイウェザーやチャベスら“歴代レジェンド”の域にまた1歩近づくことになる。【首藤正徳】

◆無敗で世界戦20連勝を達成した主な王者 メイウェザーの26連勝、チャベスの25連勝のほか、WBO世界ライトヘビー級王座を23度防衛したダリウス・ミハエルゾウスキー(ポーランド)も25連勝。ともにスーパーミドル級王座を21度防衛したスベン・オットケ(ドイツ)とジョー・カルザギ(英国)が22連勝。リカルド・ロペス、ヘビー級王者ホームズ(米国)が21連勝。3階級制覇王者のフェリックス・トリニダード(プエルトリコ)が20連勝。