ボクシングの元WBC女子世界フライ級王者で、男性でプロのリングを目指してきた真道ゴー(本名・橋本浩、36=グリーンツダ)が13日、大阪市内の所属ジムで会見し、準公式試合への出場を発表した。
性同一性障害に悩んできた真道は17年10月に引退。性別適合手術を受けて、戸籍も男性に変えた上で、ボクシングへの情熱を失わず、21年5月に本石昌也会長に男性としての復帰を直訴し、同会長も実現に向けて精力的に動いてきた。
日本ボクシングコミッション(JBC)は医師や専門家による諮問委員会を設置して検討してきたが、今年7月にプロテスト受検は認めない結論を下した。一方で公式戦に準ずる試合なら容認する含みも示してきた。準公式試合はプロデビュー前の若手選手らが対戦する「プレ試合」で関東では実施例があるといい、関西では初となる。
今回、ジムが12月10日にエディオンアリーナ大阪で行う興行内で実施。バンタム級(リミット53・5キロ)3回戦で、対戦相手は交渉中。本石会長によると現在、4回戦の3選手と交渉中でいずれも3勝、もしくは2勝の「現役バリバリ」のプロ選手という。
真道は「7月の段階でどうすればいいのか悩み、時間をいただいた」。9月初旬、本石会長に「結論を伝えたい」といい、その時は海外での挑戦を訴えた。しかし、本石会長から準公式試合とはいえ、現役のプロボクサーと対戦できる旨を知らされた。引退したボクサーらとの対戦と勘違いしていた真道は考えを一変。翌日には「やらせてください」と申し入れた。
グローブは相手との交渉次第だが8か10オンスで、ヘッドギアもなし。通常の試合と何ら変わりなく実施する。元女子選手が男性としてリングに上がるのは世界的にも異例で、真道は「自分がしたいこと、チャレンジしたいことに取り組んできた。無謀な挑戦だと思うが、多くの人が注目してくれている。チャンスをもらえることを光栄に思い、12・10を楽しみたいと思っている」と言った。
JBCとしては準公式試合をへて、プロテストへの門戸を開くか、再び考慮する可能性を含めている。ただ、真道は「女子の時は世界(王者)を目指していたが、今は年齢を考えてもあと1、2年。試合をして何が変わるのか。試合が終わって、自分の胸に手を当てて考えたい。先のことというより、12・10の試合だけを考えて取り組みたい」。
前例のないことに挑み、やってきたことが無駄ではなかったことを証明したい。真道は純粋な思いだけで12・10のリングに上がる。【実藤健一】