元年俸120円Jリーガーで格闘家の安彦考真(45)が7日、都内の再生医療関連事業を行うセルソースで法人向け教育プログラム「LIFETIMEプロジェクト」を開催した。
企業の社員教育の一環として、講師役の安彦が参加者の思考転換や向上心の刺激などを促すプロジェクト。同社で安彦がサッカー選手時代に膝の治療を受けるなどした縁で実現。9月から始めてこの日で5回目で、各部署から指名された精鋭社員7人が集い、“挑戦者”としてさまざまなことに挑む安彦の話に耳を傾けた。
この日のテーマは「不安と向き合う方法」。安彦は参加者に質問を投げかけながら自己分析の重要性やマネジメントの方法などを説いた。「熱量を循環させて自分を分析して、どうビルドアップするか。こうしたことを伝えることで社員の皆さんの考え方も変えて、輝く世界をつくっていきたい」と話した。
参加者の中には元アスリートの姿もあった。フェンシングで17年W杯男子フルーレ団体3位にも輝いた経験のある営業社員、野口凌平さん(27)。中学時代からJOCエリートアカデミーのメンバーに選ばれるなどしてきた実力者で、21年6月まで東京五輪出場などを目指して競技に励んでいた。その後、所属していたセルソースの社員となり、11月からは西日本エリアの営業リーダーも務めている。
野口さんは同じアスリートでもある安彦の話について「ひとつひとつの言葉に重みもありますし、気付かされることは多いです。すごく刺激をもらっています」と話した。安彦も野口さんについて「やはり元アスリートだけあって自己内省の力が高い」と評し「特に彼の場合は個人競技ですし、自分の中でかみ砕いて解を導き出す力がある。受け答えも素早く即答する時と、考えて意見を言う時の両方を使い分けられていますし、目指していることが実現するようになってほしい」とエールを送った。
同社はインドをはじめ世界各国での拠点展開を目指しており、野口さんも目標に「国際的に活躍できる人材になること」を掲げる。選手時代は遠征で20カ国以上を渡り歩いてきた経験もある。「違う価値観に触れることで自分もアップデートされるものがありました」と振り返り「学生時代はどちらかと言うと考えすぎてしまうところがありましたが、いかに行動できるかも重要だと思いますし、バランス感覚を持ってこれからもやっていきたい」と力を込めた。
セルソースの社員となって働くことで「広い視野を持てるようになった」とも話す。「常に俯瞰(ふかん)して見ることは意識しています」といい「これまで当社のサービスは主に高齢者の方々を治療する医療機関で役に立ってきましたが、これからは体の痛みを抱えているアスリートの方々の役にも立ちたいですし、そうした人々の悩みを解決できるような仕事もやっていきたいと思っています」と引き締めた。
安彦は数年前から“講師”として同様のプロジェクトを単発で行ってきていた。「LIFETIMEプロジェクトは1人ひとりの中にある『変わりたい』という気持ちに火をつけて、挑戦を促すものです」と説明し「アスリートであろうが会社員であろうが根本は同じで、自分の中にある『本気』をちゃんと表現できるようにすることが大切だと思っています」。
自身は19日に行われるYA-MANプロデュースの新格闘技イベント「FIGHT CLUB」(ABEMA PPV独占生中継)で現役プロレスラーで元RISEランキング2位までのぼりつめたこともある前口大尊(37)と対戦することが決定。節目の格闘家10戦目はオープンフィンガーグローブでの3分3Rキックボクシングルールで迎える。
3月に出場したRISEでキャリア初黒星を喫して以来の試合でもあり「今回は判定はなく、引き分けになってしまうのでKOするしかない。思いっきり勝ちにいきます」と意気込む。「生きざまを見てほしかったので、今までは応援メッセージなどに『勝ちます』と返したことがありませんでした」とも話し「でも今回は違う。それを活字にして猪突(ちょとつ)猛進スタイルで。勝って大みそかのRIZIN出場を諦めずに狙っていきたい」と拳を握った。【松尾幸之介】