井上尚弥、史上2人目2階級での4団体統一も「まだ通過点」アリをプロモートしたアラム氏も絶賛

4団体王座統一戦前の会見に臨むWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者の井上尚(撮影・江口和貴)

プロボクシングWBC、WBO世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(30=大橋)が“歴史的レジェンド”も超える! 24日、横浜市内でWBAスーパー、IBF同級王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)との4団体統一戦(26日、東京・有明アリーナ)の会見に臨んだ。史上2人目の2階級での4団体統一の偉業達成を前に、同席した世界的プロモーターのボブ・アラム氏(92)にムハマド・アリら歴代名王者とすでに同レベルと実績を称賛されたが、本人は「まだ通過点」と明言した。

史上2人目の歴史への挑戦を、井上は楽しんでいた。「歴史的な試合になる。2階級で4団体を統一する姿をしっかり見届けてほしい」。4日前のタパレスの“自信度2000%”発言にも「そのくらい自信がないと面白い試合にならない」。コメントには揺るぎない自信がにじんでいた。

昨年、日本人で初めて米専門誌のパウンド・フォー・パウンド(PFP=階級の壁を超えた世界最強の選定)の1位にも選出されたが、米プロモート大手トップランク社のCEOで、60年にわたり名王者たちの試合を興行してきたアラム氏は、実力と実績が“歴代レジェンド”に匹敵すると太鼓判を押した。

「前回の井上の試合を見た。階級を上げて、負ける可能性もあった試合で圧勝した。アリ、レナード、ハグラー、パッキャオらの試合をプロモートしてきたが、今や井上は彼らに劣らぬ、歴史的なスーパースターと名を連ねる選手」

往年の名王者たちに匹敵するほど、世界的な注目度も高騰している。「10月にサウジアラビアでスポーツエンターテインメント部門の一番偉い方が、会って真っ先に“井上の試合をサウジアラビアで”と提案してきた」とアラム氏。同国は近年、巨額マネーを投じてサッカーのC・ロナウドら有名選手を集めるなどスポーツに力を注ぐ。今月23日に元3団体統一ヘビー級王者アンソニー・ジョシュア(英国)らが競演するビッグマッチも開催。井上を次のターゲットにしている。

人気ぶりは本場米国でも変わらない。「特に井上はPR的にも非常に人気がある。試合はESPNで2日間も見られる。米国では今、大谷らの日本の野球選手が注目されている。井上も米国で試合をすれば、日本人だけではなく、米国人も注目する」(アラム氏)。

タパレスとの統一戦はESPN+(プラス)で海外にも生配信される。偉業を達成すれば歴代レジェンド級を全世界に証明できる。「チャンスを逃さないようにしっかり決めたい。キャリアを考えればまだまだ通過点」と井上。ボクシング史に歴史を刻んでなお“世界のイノウエ”の挑戦は進行形である。【首藤正徳】

 

◆ボブ・アラム 1931年12月8日、米ニューヨーク州ブルックリン生まれ。ニューヨーク大とハーバード大法科大学院を卒業。ケネディ政権時代、米司法省で弁護士として活動。66年、ムハマド・アリをプロモートするため、メイン・バウト社創設メンバーとなってボクシングのプロモーターとして活動を開始。同社が発展し、73年にトップランク社を創設。80年代にマービン・ハグラー、シュガー・レイ・レナード、90年代はオスカー・デラホーヤ、マニー・パッキャオらスターをプロモートし、数々のビッグマッチを実現。

 

◆2階級での4団体統一 クロフォード(米国)がスーパーライト級、ウエルター級で史上初めて達成。スーパーライト級で15年4月に王座決定戦でWBO王座を獲得し、17年8月に統一王者インドンゴ(ナミビア)を下し4団体統一に成功。ウエルター級は18年6月にWBO王座を獲得し、23年7月に3団体統一王者スペンスJr.(米国)を倒し4団体統一した。4団体統一を達成したのはホプキンス(米国)、テイラー(米国)、クロフォード、ウシク(ウクライナ)、テイラー(英国)、アルバレス(メキシコ)、チャーロ(米国)、ヘイニー(米国)、井上尚弥(大橋)の9人。