<プロボクシング:フェニックスバトル109大会>◇12日◇東京・後楽園ホール◇日刊スポーツ新聞社後援
日本初のきょうだい世界王者誕生! 挑戦者のIBF女子世界アトム級級1位山中菫(すみれ、22=真正)が同級王者岩川美花(40=姫路木下)に、3-0の判定勝ちを収めて新王者となった。
左ストレートを軸に連打で攻め続け、18歳上の王者を圧倒。元WBO世界ミニマム級王者の長兄竜也(28=真正)に続いて世界ベルト獲得に成功した。
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身長146センチの小柄なサウスポー山中が王者に突進した。同161センチの岩川を左強打、右フック、そして連打で後退させた。4回、怒濤(どとう)の17連打を浴びせ、王者の鼻からは出血も。スタミナ切れせずに10回を戦い終え、最大で8ポイント差をつけて判定勝利。「(岩川は)めちゃくちゃタフでした。ベルトの重さ? めっちゃいい」と満面の笑みを浮かべた。
国内の兄弟世界王者は亀田兄弟(興毅、大毅、和毅)、井上兄弟(尚弥、拓真)、重岡兄弟(優大、銀次朗)の3例だが、兄と妹は日本初。「プレッシャーはありましたが、(所属ジム)山下(正人)会長やトレーナーからの声に支えられた」と安堵(あんど)の表情。試合前に竜也から「集中しろ」と助言されたことも発奮材料となり「兄に少し近づくことができた」と声をはずませた。
6人きょうだいの次女で、小学3年から競技を開始したが、兄竜也が倒れた試合にショックを受けた。18年7月に行われた2度目の防衛戦後、病院に搬送されて急性硬膜下血腫で一時、現役を引退。山中は兄の苦しむ姿を間近で感じ、「怖い」と1年以上も競技から離れた。しかし試合動画を通じ、兄の強さを再認識。20年1月に気持ちを切り替えて本格復帰し、プロの門をたたいた。
竜也からは「妹でもあり、ライバルでもある」と激励を受ける。2カ月前には母理恵さんが体調を崩すという不安な時期も乗り越えた。世界王座を手にした山中は「しっかり会長と練習し、もっと上へ行けるように練習します」と強い決意を示した。【藤中栄二】
◆山中菫(やまなか・すみれ)2001年(平13)11月20日、大阪・堺市生まれ。3歳からグローブを握り、小学3年からボクシングを開始。相生学院高卒業後の20年7月にプロテスト合格し、同年12月、4回判定勝利デビュー。6戦目でWBOアジア・パシフィック女子アトム級王座獲得し、23年4月に初防衛成功。6人きょうだいの次女で、長兄竜也は元WBO世界ミニマム級王者、次兄大貴さんも元プロボクサー。身長146センチの左ボクサーファイター。
◆ボクシングきょうだい世界王者メモ 山中竜也、菫が日本初。海外ではフンドラきょうだい(米国)が有名で、身長197センチの兄セバスチャンが22年4月、WBC世界スーパーウエルター級暫定王座を獲得し、妹ガブリエラが23年10月、IBF女子世界フライ級王座を奪取した。また兄の元WBA世界ヘビー級王者ダニエル・デュボア(英国)に続き、妹キャロラインが女子ライト級で世界挑戦間近だ。なお、姉妹世界王者も存在し、セラノ姉妹(プエルトリコ)が有名。姉シンディが元WBO女子世界フェザー級王者で、妹アマンダは女子世界7階級制覇を達成している。