【ボクシング】JBCが井岡一翔に戒告処分、22年12月の世界戦で大麻成分の陽性反応検出

井岡一翔(2023年6月23日撮影)

プロボクシングの試合を管理・統括する日本ボクシングコミッション(JBC)は10日、WBA世界スーパーフライ級王者井岡一翔(34=志成)に戒告処分を科したと発表した。

処分は7日付。22年大みそかに東京・大田区総合体育館で臨んだジョシュア・フランコ(米国)戦後のドーピング検査で採取された検体が大麻成分(THC)の陽性反応を検出。JBCの倫理規定第2条に違反とした戒告処分を科した。

JBCではボクサーに対する処分として<1>厳重注意<2>戒告<3>制裁金<4>没収<5>ライセンス停止<6>ライセンスの取り消しと規定しており、2番目の処分となる。なお昨年6月24日のフランコ(米国)との再戦後のドーピング検査は陰性だった。

JBCは「井岡一翔選手は、日本男子の世界戦最多勝利記録を有し、ボクシング界を代表するボクサーとして高い知名度を有し、その行動がボクシング界の信頼に小さくない影響を及ぼす立場にあり、常に品位を高めボクシング界の信頼を維持するよう務めることがとりわけ期待されている」と前置き。その上で「同人(井岡)が、本試合の開始前の不詳の時期に、不詳の場所において、不詳の方法により日本において所持が禁止されている大麻の成分であるTHCを摂取する行為または受動的にTHCを摂取することになる状況を招く作為もしくは不作為をしたとの疑い完全に払拭(ふっしょく)できず、ボクシング界を代表するボクサーが違法に大麻を使用しているという疑念を生じさせた。よって、JBCは、井岡が、常に品位を高めボクシング界の信頼を維持するように努めなければならない義務を怠り、倫理規定第2条に違反したと認める」とした。

JBCでは昨年6月、フランコとの初対決後のドーピング検査で採取された検体が大麻成分(THC)の陽性反応を示したと発表。ただし井岡の検出量が世界アンチドーピング機構(WADA)による上限の基準値よりも少ない微量を検出していたと報告し「ドーピング禁止を定めるJBC第97条には違反しなかった」と判断。ただし第97条違反以外の各種規定違反を理由とする処分の可能性について検討していた。

井岡はWBO世界同級王者時代の20年12月、田中恒成(畑中)の挑戦を受けた際のドーピング検査でも簡易検査のA検体から大麻成分、その後のB検体の1部から禁止薬物が検出される「薬物騒動」があった。ただJBC側に検体の管理態勢の不手際や検査の不備が重なった。そのためJBCは違反と認めずに処分なしと発表し、記者会見を開いて井岡に謝罪していた。