“浪速のメイウェザー”西田凌佑の理想は井上尚弥「芯がぶれない」5・4世界初挑戦で戴冠に自信

世界初挑戦の西田(左)は武市トレーナーを相手にミット打ち(撮影・実藤健一)

ボクシングのIBF世界バンタム級1位で5月4日に世界初挑戦の西田凌佑(27=六島)が9日、大阪市内の所属ジムで取材に応じ、戴冠に自信を示した。

同級王者エマヌエル・ロドリゲス(31=プエルトリコ)にエディオンアリーナ大阪で挑む。王者が“モンスター”井上尚弥(大橋)に2回TKO負けした5年前の試合を猛研究。まだ全国的に無名だが、打たせずに勝つ「浪速のメイウェザー」が世界へ発進する。

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西田の理想は意外にも井上尚弥だった。同じ無敗とはいえ、西田の8勝1KOに対し26勝23KOの“KOモンスター”。ただ、西田の視点は違う。「倒せるところは違いますが芯がぶれない、かわすところを見ている」。19年5月に井上尚はロドリゲスを2回TKOで退けた。その試合を猛研究し勝利の鍵をつかんだ。

「右ストレート、左フックが強い。正直、穴はないと思っている」と西田は王者の強さを認めるからこそ猛練習を積む。2階級上のフェザー級で全日本王者の大学選手やフィリピン選手を呼んでのスパーリングは計200ラウンドを予定。試合展開にも対応する「引き出し」を増やしてきた。

3150FIGHTを手がける亀田興毅ファウンダー(37)が「浪速のメイウェザー」と名付けた。その特徴は触らせない。「打たれるのは痛いんでイヤです」と徹底して足を使う独特のスタイルを確立した。指導する武市トレーナーは「パンチもスピードもない。ただ下半身は強い。ぶれがない」と強みを表現した。

中学時代は長距離専門の陸上選手。3000メートル9分40秒台の脚力が12ラウンド、相手の攻撃をかわす強い足腰の源だ。その上で「逃げていては勝ち目ない。秘策はあります」と具体的には伏せたが、武市トレーナーと勝つための“スペシャル”も積み上げてきた。

沙捺夫人(27)が3月27日に長女を出産した。「より負けられない思いです」。打たせない“アンタッチャブル”が人生の大一番に打って出る。【実藤健一】

◆西田凌佑(にしだ・りょうすけ) 1996年(平8)8月7日、奈良県香芝市生まれ。中学時代は陸上部で長距離専門。王寺工からボクシングをはじめ、国体で優勝。近大に進み、ボクシング部に所属も卒業後は大手パンメーカーに就職した。ボクシングへの思いを残し、六島ジム武市トレーナーの熱烈勧誘もあり、同ジムに入門。19年10月、タイ・バンコクでプロデビュー。21年4月、元世界王者・比嘉大吾とのWBOアジアパシフィック・バンタム級タイトル戦で金星。同タイトルを3回防衛。身長170センチの左ボクサー。戦績は8勝(1KO)無敗。昨年3月、全日本女子選手権バンタム級3連覇の元ボクサーで大学の同級生、沙捺(さな)夫人と結婚。今年3月27日に長女が誕生。