<プロボクシング:4団体統一スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦>◇6日◇東京ドーム
4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)が防衛(WBAスーパー、IBF初、WBC、WBO2度目)に成功した。元世界2階級制覇王者のWBC世界同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)の挑戦を受け、6回TKO勝利。日本人初となる4団体統一王者としての防衛を成し遂げた。元WBC世界スーパーフライ級王者の川島郭志さんが強さを語った。
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井上尚弥は強かった。際だっていたのが精神と肉体をコントロールできるハートの強さだ。初回にプロ初ダウンを喫した。本人も驚いたと思うが、焦ることも、弱気になることもなく、余裕を持って立ち上がり、再開後もネリの連打を冷静にクリンチでかわした。なかなかできることではない。
ネリはパンチ力も連打の回転力もある危険な挑戦者だった。私はもし、ネリに勝機があるとすれば、序盤からガンガン打っていき、王者を焦らせる展開だと思っていた。まさに初回にその流れになったが、井上尚は2回以降、ネリのボクシングを見極め、見事に切り替えた。東京ドームの観客にアピールする余裕も見せた。彼の底知れぬ強さを象徴する試合だった。
相変わらずパンチは強かったが、特にすごかったのは、2回にダウンを奪い返した左フック。ネリの左フックをバックステップで外して、下がりながら放った。相手の打ち終わりを打つ非常に高度なテクニックを必要とするパンチだが、彼にはそれが体に染みついている。まるで戦うサイボーグのようだと思った。
今の王者に負けは想定できない。当分、井上時代は続きそうだ。(元WBC世界スーパーフライ級王者)