井上尚弥、記録ずくめの防衛 世界戦通算勝利数で日本人最多&現役最多、連続KO勝利記録も伸ばす

試合後の取材に応じる井上(撮影・垰建太)

<プロボクシング:4団体統一スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦>◇3日◇東京・有明アリーナ

4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)が記録ずくめの防衛(WBAスーパー、IBF2度目、WBC、WBO3度目)に成功した。WBO世界同級2位の元IBF世界同級王者TJ・ドヘニー(37=アイルランド)の挑戦を受け、7回0分16秒、TKO勝利を挙げた。ロープに追い詰め、連打を浴びせたところで、ドヘニーが腰周辺の神経を痛めて続行不可能に。世界戦通算勝利数で日本人最多&現役最多、自ら保持する世界戦連続KO勝利記録も「9」に伸ばし、同級最強を証明してみせた。

   ◇   ◇   ◇

実力差は明白だった。井上が圧力をかけ、ドヘニーを何度もロープ際に追い詰めた。当日計量で約11キロ増の66・1キロの挑戦者に対し「増やせるだけ増やして」と約7キロ増の過去最重量の62・7キロで対峙(たいじ)したが、3・4キロ差も関係なし。ボディー攻撃でスタミナを削ると、6回にはドヘニーの腰の神経が悲鳴をあげた。7回、ワンツーで後退させ、連打していたところで続行不可能に。レフェリーストップでTKO勝利となった。

過去、KO負けのなかったドヘニーを棄権に追い込んだ。「少なからずダメージの蓄積はあったのかなと。理想としていたものではなく、少し中途半端な終わり方。長く試合をしていればこういう試合もあるということ。次に期待していただきたい」。無傷の顔から笑みをこぼした。幕切れは突然だったが、一切、隙を与えなかった強さが際立った。

「丁寧にボクシングを組み立てる」とテーマを掲げていた。5月に東京ドームで臨んだ元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)戦の1回、キャリア初のダウンを喫して以来、約4カ月ぶりリング。井上は「ボクシングへの向き合い方は非常に変わった。父(真吾トレーナー)とも話し合った」と明かす。真吾氏も「(初ダウンが)良い教訓になっている。丁寧に、冷静に。初心に返る」と強調。どんなに世界的注目度が高くなっても親子で「原点」を見つめ直してドヘニー戦に臨んでいた。

これで世界戦通算勝利数で2つの最多記録をマーク。日本人では22勝の井岡一翔(志成)を初めて抜き、23勝で単独1位となった。現役の世界王者経験者では元3団体統一ミドル級王者で42歳のゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)と並ぶ最多となった。ドヘニーKO撃破で、自らが持つ日本人トップの世界戦連続KO記録も8連続から9連続に塗り替えた。記録ずくめの防衛だった。

現役では世界ただ1人の4団体統一王者となる。ネリ戦に続いて4本のベルトを防衛したのは2度目。デビン・ヘイニー(米国)と並んで歴代2位だ。12月に控える次期防衛戦も4団体統一王者として防衛成功すれば、歴代1位サウル・アルバレスの持つ4度に王手をかける。

「まだまだ未完成もっともっと上を目指して頑張っていきたい」

次戦は12月。まだまだスーパーバンタム級最強王者として加速を続ける。【藤中栄二】

〇…井上と契約を結ぶ米プロモート大手トップランク社のアラムCEOは、井上の米ラスベガス防衛戦開催意欲を示した。試合後、井上に声をかけた同CEOは「年内には、ここ、東京でもう1試合して。来年にはラスベガスで大きな大きなイベントを開催したい」と報告した。2万人収容のT-モバイルアリーナや1万7000人収容のMGMグランド・アリーナなどを過去にビッグマッチが開催された大きな会場のメインイベンターとして迎え入れる方針だ。