無敗の格闘家でプロボクシングWBA世界バンタム級3位で那須川天心(26=帝拳)が“天心流マジック”で世界挑戦切符をつかむ。ジョルウィン・アシロ(23=フィリピン)とのWBOアジアパシフィック同級王座決定戦(14日、東京・有明コロシアム)を控えた2日、都内の帝拳ジムでスパーリングを公開。本人が「マジック」と表現する独特の動きで世界上位ランカーを翻弄(ほんろう)して、著しい成長ぶりを印象づけた。
那須川は3ラウンドのスパーリングで終始ペースを支配し続けた。3回にはWBO世界同級2位クリスチャン・メディナ(メキシコ)を、巧みなステップでロープに追い込み、流れるような上下の連打をたたき込んだ。「長い距離も短い距離も支配するのがうまい。パンチは確実にピンポイントを突いてくる。スピードもパンチ力もものすごくついている」。前戦もパートナーを務めた格上のメディナは、那須川の急成長ぶりに脱帽した。
何より本人が自らの進化を実感していた。
那須川 今まではどうすればいいんだろうと意識しながらやっていた。そうすると0・何秒か遅れる。それを繰り返したことで無意識になれた。今は自分で相手を動かし、導いて、自分の攻撃を当てることができるようになってきた。
その要因になっているのが自ら「マジック」と表現する独特の動き。それを9戦全勝(4KO)と無敗のアシロ相手に実践する。
那須川 見えない、打たないパンチをたくさん打って距離を制圧していく。パンチは右左の手だけではなくて、僕の中では足もパンチだと思っている。他の人にはないステップや踏み込みがある。僕とたいじすると(相手は)どうやればいいか分からなくなって手が出なくなる。それが僕のマジック。ボクシングじゃないボクシングをする。
両拳に加えて足の動きも駆使して、試合を支配して勝利をつかむつもりだ。
国内の内規では日本またはアジアのタイトルを取れば、世界挑戦の資格が得られる。「(アジアの王座は)世界を取る切符が必要なので手段でしかない。ハッピーセットみたいなイメージ」(那須川)。すでに9月3日に初防衛に成功したWBO世界バンタム級王者の武居由樹(大橋)が、リング上で将来の対戦候補として那須川の名前を口にした。
那須川 そんな時期が近づいてきていると思う半面(自分は)まだ5戦(現在4戦全勝2KO)。まだ新人なので、もうちょっと待っていてください。
もう数戦キャリアを積んで“天心流”をより完成に近づけて、満を持して世界の舞台に殴り込む決意だ。【首藤正徳】