【大橋会長独占手記】井上尚弥ピークは今後3年、あの練習量なら衰えない 階級増で本当の全盛期

カルデナスを破り、防衛に成功した井上は、笑顔でガッツポーズを見せる(撮影・菅敏)

<プロボクシング:4団体統一スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦>◇4日(日本時間5日)◇米ラスベガス◇T-モバイルアリーナ

ボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32)が所属する大橋ジムの大橋秀行会長(60)が日刊スポーツに手記を寄せた。

今年3月のボクシング年間表彰式で井上がWBC世界バンタム級王者中谷潤人(27=M・T)と「1年後に」と約束した日本人対決は「26年5月」と設定。またメンタルの強さ、興行への意識の高さ、階級変更など32歳となった井上の可能性について明かした。

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井上がダウンを喫し、スリリングな展開が続いて心臓が止まるかと思った。当初、WBC1位アラン・ピカソ(メキシコ)と交渉したが、合意に至らず。実は次にリストアップされた候補にも断られ、最後にカルデナス選手が受けてくれた。交渉をまとめてくれたトップランク社からは過去2回のラスベガス戦よりも大きく評価いただき、井上の報酬も過去最高となった。関係者のみなさまのご支援に感謝したい。

井上は今年9月に国内、12月にサウジアラビアで試合する計画だ。井上が中谷選手と約束した日本人対決は来年5月ぐらいを予定している。通常なら目の前の試合に集中し、数試合先まで考えるメンタルがついてこない。ただ井上は特別で別格。今後は出てこないかもしれない存在だ。

特に強調したいのは本当にメンタルが怪物なのだ。試合直前までリラックスしているから、周囲も気を使って疲弊することがない。先月もジムで井上の心身を考慮し「ピリピリしているから」とキッズのサインをお断りしたが、その直後で井上が会心の笑顔で登場し、サインと写真撮影に応じた。我々の方がピリピリし過ぎていたと頭をかいた。戦力チャートで言えば全部Aなのだが、メンタルは特Aだと感じる。

ここ数年、私の背中を見て、プロモーター目線も持ってきた。興行前はしばしば「あと残りチケットは何枚ですか」と連絡が入る。中谷選手への直接オファーも私は事前に聞いていなかったが、あの言動もプロモーター的な発想だったと思う。結果的に中谷選手への取材や注目が一気に増えたと聞く。1年後に向けて機運が高まれば、いざ対決となる時には多くの観客数を期待できる。そこまで見越しての行動なのだろう。

年齢を重ねるごとに井上の練習量は増えている。八重樫東トレーナーのおかげだ。私の時代は疲労したら休む発想だったが、八重樫流は真逆。年齢を重ねたらさらに徹底的に練習する。あの練習量なら衰えない。特に井上は試合でパンチをもらうケースが少ないから回復も早い。今後3年がピークだと本気で思う。

今後、階級を上げていけば、さらに井上の良さが生きる。スタイルも今のパワーファイトではなく、スピードとテクニックで戦ったら、本当に全盛期が訪れると感じる。井上の負けないボクシング、勝利の徹するスタイルも面白いと想像している。スパーリングではスーパーフェザー級やライト級の選手と戦ってもパワー負けしたことを見たことがない。間違いなくさらに上の階級でも戦える。

バタバタ倒すのではなく、スタイリッシュに。元々パンチ力があるので階級を上げればスピードが生きる。5階級目のフェザー級、6階級目のスーパーフェザー級、そして、その上も…。井上の1番の持ち味が生きると思っている。(元WBA、WBC世界ミニマム級王者、大橋ジム会長)

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