プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)が2日、横浜市の所属ジムで練習を公開した。14日、名古屋・IGアリーナでWBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30=ウズベキスタン)との対戦を控える。ミット打ちとシャドーボクシングを各1ラウンドずつ公開した井上は「毎度言っていますけど、過去一(の仕上がり)で。もう聞き飽きたかもしれないですけど。本当に今回はスパーリングパートナーを含め、パートナーとのスパー内容も含め、トータル的にすごく良い内容でここまでトレーニングが積めてきた。すごく充実した練習ができている」と口にした。
今回の練習パートナーは通常以上に豪華だった。アフマダリエフにプロ唯一の黒星をつけ、井上自らも23年12月に対戦経験がある元WBAスーパー、IBF世界同級王者マーロン・タパレス(33=フィリピン)を迎えて約1カ月間、拳を交えた。また東洋太平洋フェザー級王者の中野幹士(30)、WBOアジア・パシフィック同級王者の藤田健児(31)、WBOアジア・パシフィック・スーパーバンタム級王者の村田昴(28)、日本バンタム級王者の増田陸(27=すべて帝拳)というサウスポーの世界上位ランカーたちと実戦練習を積んできた。
あと2回、中野とのスパーリングを終えれば、アフマダリエフ戦に向けた総スパーリング数は120ラウンドに到達するという。アマチュア時代以来、13年ぶりという出げいこも2度、敢行。井上は「帝拳ジムさんに協力してもらい、まだ初心に戻るというか、そういった新たな気持ちで今回の試合に挑める。この試合に終わって練習の成果が実感できると思う。すごく意味のあるトレーニングを今後もやっていきたい」と充実した表情を浮かべた。
所属ジムの大橋秀行会長(60)は「今回はスパーリングパートナーの層の厚さ、タパレス、中野選手、村田選手、藤田選手、増田選手と今までにないスパーリングの充実さ、内容の濃さ、スパーリングの出来は過去最高だと思っている。正直、楽しみしかない」と余裕の笑み。井上の父真吾トレーナー(54)も「今回もあらためて最高の練習ができました。スパーリング内容も選手が代わっても漠然ではなく、テーマを持って考えてやり切ってくれた。見ていて安心だし不安はない」と手応えを示した。
一般販売では10分でチケットが売り切れるなど試合会場となるIGアリーナは約1万7000人の満員になる見通し。当日券の販売もない。井上は「うれしいですよね。もちろん、アフマダリエフが相手ということで注目度も高いと思いますし。何と言っても日曜開催ということで。ちょっとド平日の火曜日とかで来たくても来れないファンの方が多かったと思うので」と笑顔。
「キャリア最大の強敵」アフマダリエフとの「名古屋決戦」まで残り12日に迫った。井上は「もう体的には仕上がっている。けがだったり、細かいことを気をつけながらやっていきたい」と充実した表情。前日1日に公開練習したアフマダリエフの姿を映像を通じて確認し「アマ時代に世界に飛び回って試合している選手。落ち着いているし、自信に満ちあふれた表情している。そういう選手ほどこういう舞台に強い。(アフマダリエフの公開練習)映像を見て引き締まった」と警戒した。
4団体統一王者としては、現4団体統一スーパーミドル級王者サウル・アルバレス(35=メキシコ)を超える新記録の5度目防衛成功を狙う。しかし井上は挑戦魂を燃やし「守るという気持ちはどの試合もない。自分の中のテーマとしては勝ち方でも必ず勝利する。KOにこだわらず、勝つことだけを目的に試合を進めていきたい。流れ的にどうなるか分からないが、すべてを見届けてほしい」と強い決意を示していた。【藤中栄二】