【川島郭志】井上尚弥はわざと隙を見せて相手を誘ったり…まるでレッスンをしているようだった

6回、アフマダリエフ(右)を攻める井上(撮影・鈴木みどり)

<プロボクシング:4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦>◇14日◇名古屋・IGアリーナ

4団体統一スーパーバンタム級王者・井上尚弥(32=大橋)が3-0(118-110、118-110、117-111)判定勝ちで防衛に成功した。WBAスーパーとIBFは5度目WBCとWBOは6度目。WBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30=ウズベキスタン)と対決。4団体統一王者としてサウル・アルバレス(35=メキシコ)を超え、新記録となる5度目防衛に成功した。また世界戦26連勝は元世界ヘビー級王者ジョー・ルイス、元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(ともに米国)と並ぶ世界タイ記録となった。

   ◇  ◇  ◇

井上が「最強の敵」ともいわれたアフマダリエフに理想の戦い方をして勝利した。ライトフライ級から4階級上げた井上に対して、相手はアマチュア時代から今回のスーパーバンタム級で戦ってきた。KO率も8割ほどで、五輪銅、世界選手権銀メダルと技術力もある。今まで通り、パワーで倒しにいけばリスクは高かった。

陣営はしっかりボクシングをする作戦を立て、井上は完璧に実行した。フェイント、足を使ったアウトボクシングを徹底。要のスピードは終盤に入ってもまったく衰えない。驚くべきスタミナだった。アフマダリエフからすると、攻撃を仕掛けようとしても、目の前にいない状況。だから手数も出なかった。

試合のポイントは6回。井上がボディーブローを3発決めた。このパンチが効いたのか、アフマダリエフはアグレッシブさが消滅。前に出られず下がり始めた。逆に井上は余裕さえ漂わせる。わざと隙を見せて、相手を誘ったり、まるでボクシングのレッスンをしているようだった。

新たな一面を見せての勝利。次は12月にWBC世界同級1位アラン・ピカソ(メキシコ)と対戦すると伝えられている。今回のアフマダリエフよりは戦いやすく、井上の相手ではないと思う。来年の中谷潤人との日本人同士のビッグマッチへ、弾みをつける勝利になった。(元WBC世界スーパーフライ級王者)

井上尚弥、アフマダリエフに判定完勝!武居衝撃TKO負け 高田は負傷判定負けで担架搬送/詳細