井上尚弥「倒しにいかないのは、こんなに難しいんだなと」我慢して「採点で勝つ」戦略/一問一答

試合後の会見に臨む井上(撮影・鈴木みどり)

<プロボクシング:4団体統一世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦>◇14日◇名古屋・IGアリーナ

4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(32=大橋)が防衛に成功した。WBA世界同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30=ウズベキスタン)と対戦し、大差判定勝利。4団体統一王者として新記録の5度目防衛に成功した。以下、試合後会見での一問一答。

-試合を終えての感想は

「今日は作戦を最後まで実行して戦った、そんな試合でした」

-後半にかけてどんどんいろんな引き出しを出していって、むしろ運動量が12ラウンドにかけて増えていったような感じに見えたんですが

「そうですね、最初はアフマダリエフの出方、戦い方というものを確認しながら、インプットしながら、丁寧に戦いながら進めていきました。それによって自分の運動量とか戦い方も引き出しを増やしていって、上回っていく、戦い方でしたね」

-相手のアフマダリエフ選手の入り方っていうのは想定内だったんでしょうか

「自分が想定していた中の一つではありました」

-パンチを受けての印象はどうだったでしょうか

「100%インパクトを乗るパンチというものはもらってないので、それほど感じはしませんでしたけど。ただやっぱり本当にインパクト的に100%というところでもらえば、やっぱりパンチのある選手だなというのは、やってて感じたんで。そこだけ気をつけながらやりました」

-ご自身の戦いぶりは100点満点中何点だったでしょうか

「まあ今日はアフマダリエフに対して、戦い方というのは100点つけていいんじゃないかと思います」

-今後について一言お願いします

「次戦は12月に予定をしているので、まあ、また時間も少ないので、少し、心身共に休暇を少し取れれば取って、また12月に向けて始めていきたいなと思います」

-リング上でちょっとお話しされてましたけど、当日体重は今日何キロでしょうか? おそらくスピードを重視だからちょっと軽くしたのかなと思うんですけど

「今日は61.5(キロ)ですね。12ラウンドしっかりと動ききるというので、気持ち軽めに当日を迎えました」

-9ラウンドにアフマダリエフを「来い、来い」と挑発した場面があって、キム・イェジュンの時はグッと倒しに行った。今日はグッと我慢した。あのあたりの心境を教えてください

「まあ今日は我慢というものが1つ自分の中でテーマというか。インターバル中もずっと父から『いいんだよ、このままでいいんだよ』って。『行きすぎるな』って。しっかりと出入りのボクシングと、ポイントをピックアップしていくボクシングをしっかりやると言われていたので、それをしっかりと守ってやりました」

-ポイント的には12ラウンド終わった時にどんな感触でしたか

「でも自分の感覚的には、中盤以降はもう取られていないというのを確信しながらやっていました。1(回)がどうかなというぐらいの感覚で。あとは全部取っててもおかしくないなというのは、なんとなく思いながらやっていました」

-6ラウンドに右のアッパーから左のボディのコンビネーションが何発か当たって、かなりダメージもあって、あのコンビネーションをあそこから使ってなくて、あれをもっと使えばKOに持っていけると思って見ていたのですが

「まあ作ろうと思えば作れたシーンはいくつかあったと思うんですけど。そこはアフマダリエフも実力者なんで。自分がそこで倒しに行こうと思えば、また違った展開になっていた可能性というものもあるので。今日は今日のこの判定で勝つというボクシング、ここをチョイスして良かったのかなと思ってます」

-IGアリーナで試合中ずっと尚弥コールがあったと思いますが

「すごくいい雰囲気の会場で、自分もワクワクするような会場の雰囲気もありながら、非常に楽しませていただきました。1ラウンド目の尚弥コールがすごい聞こえて、パワーになったので、すごく振り返ってうれしかったなっていうのがありますね」

-ボブ・アラムさんからコンプリートファイターという言葉が出ていました。派手なKOで勝つよりもっと怖い、勝ちに徹する井上選手を見た気がしたんですが、今回の戦い方で新たな気づきとか発見というのはありましたか

「倒しに行かないことが、これほど難しいんだなという発見はありました(笑い)。本当に何回、行ってやろうかなと思ったシーンというのはすごかったので。でもそこをこらえて今日の判定に持っていけたというのは1つ自分の中で良かった点というか、そこはありました」

-今日のような緻密な戦い方は、体力と脳がすごく疲れるような気がしたんですが、これまでとの戦い方で何か違いを感じたことはありますか

「いや、そこの違いは特にはないですね。どちらを選択してもいいように、毎回準備をしているので」

-今後は今回のような勝ちに徹するスタイルを貫くのか、時々は情熱的に荒々しく倒しに行くスイッチを入れるのか。そのあたりは

「そこはこれからその戦い方によって選んでいけばいいことで。今、それをどうこうとかいう問題ではないかなと思います」

-今日はとても戦略に沿って、殴り合うよりもボクシングをするということに徹したと思うんですが、今どのような思いでいますか

「このように試合を運ぶというところを常に意識してトレーニングをしてきたので、その通りに運べて。そしてチーム井上、チーム大橋で準備してきたものが今日こうして結果で出て、本当に満足しています」

-判定ではありましたが、アウトボクシングをしても、これほど素晴らしい戦いができることをファンに示せたことについてどう思いますか

「判定でもこうして魅せるというボクシングができたので、今日は今日で満足はしていますが、自分の中でKOというものも1つボクシングの醍醐味(だいごみ)として大切にしていることなので、これから、どちらにせよ、良いボクシングを見せていきたいなと思います」

-大橋会長におうかがいしたいんですけども、今日はアウトボクシングという幅広い戦いを見せて王座を守ったチャンピオンの評価をお聞かせいただけますでしょうか

大橋会長「そうですね、やっぱりKOというのはボクシングで一番の魅力だと思うんですけども、今日のように判定勝ちでもこう魅せられる。やっぱり、この何年かで今日の井上尚弥の試合が僕は1番良い試合だったと思います。KOもボクシングなんですけど、判定でもここまで魅せられるボクサーになったんだなと今日、確信しました」

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