那須川天心「やっと世間に響くカードできる」負けるかもしれない井上拓真戦ワクワク

「Prime Video Boxing 14」記者会見に臨む那須川(撮影・宮地輝)

無敗の格闘家でボクシングWBC世界バンタム級1位の那須川天心(27=帝拳)が11月24日、トヨタアリーナ東京で同級2位の元WBA世界同級王者・井上拓真(29=大橋)と同級王座決定戦に臨むと25日、発表された。中谷潤人(27=M・T)が返上し、空位となった王座を争う。両者は同日に都内で会見。8戦目で世界初挑戦の那須川は劣勢予想をパワーに変え「幽霊」のキーワードを出す“天心節”で幻惑した。一方、井上は昨年10月にWBA王座から陥落して以来の再起戦で復活勝利を狙う。

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心地よさげに緊張感に包まれていた。那須川は拳を交える井上と並び立ち、身を引き締めた。格闘家時代の22年6月、K-1の元3階級制覇王者武尊との「THE MATCH」を経験。勝敗予想が割れる日本人対決を経験したが「キック時代を含め、キャリアの中で1番、負けるかもしれないと思えるカード。武尊戦の時よりも。それはすごく自覚している」と率直な心境を明かした。

2度の世界王座戴冠を誇る井上は大きな難関だ。「経験値は何倍も上、僕の知らないボクシングをたくさん知っている」と認めた上で、こう続けた。

「僕がボクシングだけでなく、格闘技でやってきたことをすべてを使って井上拓真という男にぶつかっていきたい」

戦前の不利予想も歓迎した。「いいんじゃないですか。やっと世間に響くカードができる。強いヤツに勝ってこそのベルトの価値。誰とどういう試合をして勝つか。格闘技の根本に戻る試合ができる」とワクワク感を漂わせた。

中谷が王座返上し、好敵手の元K-1王者武居由樹(29=大橋)がWBO王座から陥落。バンタム級戦線が変化し、那須川は「僕が勝った方が今後、絶対に面白くなる。僕が主役? 常に常に思っている」と自らの役目を意識する。さらに相手陣営を惑わせる“那須川節”も出た。「拓真選手に自分の幽霊をみせたい。『幽霊の正体見たり枯れ尾花』という短歌がある。その意味を解釈して」。もう戦いは始まっている-と言わんばかりの意味深ワードだった。【藤中栄二】

◆幽霊の正体見たり枯れ尾花 恐れられている人や物の実体がつまらないものであることの例え。幽霊と思っていたものは、枯れたススキだった、という状況から来ている。

〇…ボクシングで初メイン登場となる那須川はチケットを手売りする企画を明かした。世界初挑戦の際に実現しようと胸に秘めていたという。会場は約1万人収容。井上との世界戦のため、チケット売れ行きも好調が予想されるが、那須川は「即完(売)すると思うが、自分がチケットを手で売って気持ちを届けたい。今の時代だからこそ会って自分の心意気、気持ちを感じてもらう」と口にした。