<武尊、完全燃焼へ 4・29有明で引退試合>(1)
元K-1ワールドGP3階級制覇王者で、現在は世界最大級の格闘技団体ONEチャンピオンシップを舞台に活躍するキックボクサー武尊(34=team VASILEUS)が「ONE SAMURAI 1」(4月29日、東京・有明アリーナ)で引退試合を迎える。対するは昨年3月に1回KO負けを喫した宿敵ロッタン・ジットムアンノン(28=タイ)。最後の一戦を前に、武尊が自らの言葉で格闘家としての生きざまを振り返った。
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武尊は昨年3月の「ONE172」(さいたまスーパーアリーナ)で念願だったロッタン戦にたどり着いた。
22年に行われた世紀の一戦「THE MATCH」では東京ドームに5万6399人ものファンを集めて那須川天心と対戦。1回終了間際にカウンターの左フックでダウンを奪われ、判定0-5で敗れた。その天心はボクシング転向。リベンジの相手を失った武尊にとって、天心と18年のRISE世界フェザー級王座決定戦で激突し、延長までもつれる死闘を演じたロッタンを倒すことだけが、再び自分の強さを証明できる唯一の道となった。
「正直(天心戦が)終わった後、すぐにやめようと思ったんですけど。負けた悔しさもあるし、減量とかで疲弊もしてたし、直前でケガもあったり…これでやめたら後悔するから、もう1回、万全のコンディションで試合をやってからやめようと思って。同時にロッタンっていう目標ができたんで、それでちょっと気持ちが変わったかもしれないですね」。
その後、ONEに主戦場を移し、思いを募らせて臨んだ昨年のロッタン戦だったが、強烈な左フックを浴び、わずか80秒で1回KO負け。「たらればを言ったらきりがないですけど、やりたかったことはまだむちゃくちゃありました」と、再び悔しさだけが残る残酷な結果となってしまった。
だが武尊は立ち上がった。昨年11月の「ONE173」でデニス・ピューリック(ボスニア・ヘルツェゴビナ/カナダ)に左ハイキックからのパンチ連打で2回TKO勝ち。試合後のケージの中で次戦での引退を発表し、観戦していたロッタンに対戦をアピール。自分の力で「武尊VSロッタン2」をつかみとった。
武尊にはロッタンに勝ってやりたいことがある。「デビュー戦からやっているバック宙をして最後を締めます。そしてベルトを置いてリングを降りようと思います」。この試合はONEフライ級キックボクシング暫定世界王座決定戦として行われる。勝者は暫定ながら世界王者になるわけだが、最後だと決めている武尊はベルトを置いて去るつもりだ。
「最後の試合で『武尊を応援してきてよかった』『武尊についてきてよかった』と思ってもらいたい。そしてファンの人たちに、あなたたちのおかげでこのベルトが取れました、これはあなたたちのものですと示したい。だからベルトを置いて去るんです」。支えてきてくれたファンへの感謝の思いを口にした。【千葉修宏】
(つづく)
◆武尊(たける)1991年(平3)7月29日生まれ、鳥取・米子市出身。小学2年で空手を始め、16歳でキックに転向し、11年9月にKrushでデビュー。15年4月にK-1ワールドGPスーパーバンタム級、16年11月に同フェザー級、18年3月に同スーパーフェザー級の王座決定トーナメントで優勝し史上初3階級制覇。22年6月の那須川天心戦では判定0-5で惜敗。24年1月のスーパーレック戦からONE参戦。通算45勝(27KO)5敗、ONEでは2勝(2KO)2敗。168センチ、61・1キロ。