<プロボクシング:東洋太平洋ウエルター級タイトルマッチ>◇10回戦◇2日◇東京ドーム
東洋太平洋ウエルター級1位佐々木尽(24=八王子中屋)が王座返り咲きに成功した。
同級王者田中空(24=大橋)に挑み、2-1の判定勝利。接近戦からの打ち合いに挑み、鼻血を出しながら何とか接戦を制した。世界2位までランクを上げ、昨年6月には世界初挑戦も5回KO負け。同年齢で同じく日本人初の世界同級王座獲得を狙う田中との同級国内頂上決戦を制し、世界戦線再浮上への足がかりをつかんだ。
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世界戦経験のある佐々木が競り勝った。手数多く攻め込む王者田中と頭をつけ合う接近戦を展開。相打ち上等でパンチを繰り出した。被弾で鼻血を出しながらも強打をねじ込み続け、何とか勝ち切った。佐々木は「倒せなかった。僕の中では負けに等しい勝ち方。倒せなかったことが悔しい」と内容へのこだわりを口にした。
日本の誇る若き中量級同士の激突だった。ボクシングをはじめた中学時代、既に田中はアマチュア界で実力者として有名な存在だった。当時は「こんなに強い選手がいるんだと思った」と振り返る。1年前まではスパーリングで拳を交えていた関係でもある。佐々木は「(田中)空選手に形では勝ったと。勝敗として超えられた」と収穫を口にした。
昨年6月、当時のWBO世界同級王者ブライアン・ノーマン(米国)に5回KO負けで王座獲得を逃した。計3度のダウンを許して失神KOを喫した。ダメージ回復を待ち、満を持して今年2月に再起戦勝利で復活を印象づけた。その後は約1カ月間、米修行を敢行。WBA世界同級王者ロランド・ロメロ(米国)らとスパーリングを重ね、一回り大きくなった。
「試合を見せる」などの意味を込め、田中戦から「ザ・ムービー」の愛称を使用した。佐々木は「このラストシーンは想像していなかった。ここからが物語が続く。VS田中空第1戦」と再戦も意識。日本人初の世界同級王者を狙う2人の物語は、佐々木が先勝した。【藤中栄二】
◆佐々木尽(ささき・じん)2001年(平13)7月28日生まれ、東京・八王子市出身。小学5年から4年間は柔道を学び、都大会2位。中学1年から並行してボクシングも開始。その練習時間を確保するため、定時制の八王子拓真高に進んだ。18年8月にプロデビュー。20年12月、日本ユース・スーパーライト級王座獲得。21年10月、日本、WBOアジア・パシフィック同級王座決定戦で平岡アンディ(大橋)戦に敗れてプロ初黒星。ウエルター級に転向し、23年1月、WBOアジア・パシフィック王座を獲得。24年5月、東洋太平洋王座も奪取。174センチの右ボクサーファイター。